ホーム > プロが教えるシンガポールの住宅探し

シンガポールの住宅・不動産事情

PRO プロが教えるシンガポールの
住宅探し

  • シンガポールの住宅・不動産事情

  • Selection Criteria

第137回 佐藤さんの住宅探し(賃料上昇が続くコンド)

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

 

引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに聞きます。

「現在賃料が上がっているということですが、日本人駐在員の数は増えているのでしょうか? 私の身の回りでは帰国する人のほうが目立つのですが?」

「正確な統計数字はまだ出ていませんが、私どもの肌感覚でもご帰国される方の方がやや多いような感じがします」

「それなのに賃料が上昇するのでしょうか」

「現在の賃料の上昇は日本人の駐在員の数の増減はあまり関係なく、複合的な要素があると思われます」

「どういうことでしょうか」

「まず(1)以前と比べてシンガポール人の生活が豊かになりシンガポールの人達が自分の住まいとしてコンドを購入して、投資賃貸に回さなくなっていること、(2)公共住宅の入居が遅れておりコンドに一旦入居しなくてはならないこと(特に結婚を控えた若い方々)、(3)不動産価格の上昇のタイミングで自分の不動産を売却してとりあえず次を買わずに賃貸する人が増えたということ、などシンガポール国内のいわゆる実需と言われる部分が大きくなってきたことが考えられます」

「なるほど、それだけシンガポールの人達が豊かになった、ということですね」

「そうですね、でもそれだけではありません。コロナの終息にともない日本と比べて欧米とシンガポールの行き来がより活発になり、欧米諸国の人達の賃貸需要が増えていること、香港からシンガポールに駐在員が移動してくること、などもその他の要因として考えられます」

「なるほど、日本の人以外の需要が大きくなってきている、ということですね」

「さらに不動産価格自体が上昇しているため、以前と同じだけの投資利回りを確保しようとすると、当然賃料を上げざるを得ません。そのために賃料が上がります」

「それだけの理由があれば賃料が上昇するのは仕方がないですね」

「これから楽観できないのは不動産の固定資産税、GSTが上昇しますのでそれらの値上げを見越して家主が賃料をより多く取ろうとしていることも今回の値上げが暫く続くと思われる要素としてあります」

「それは日本人駐在員にとってこれから結構大変な時期になりそうですね」

 

今回のポイント

●現在コンドの賃料は上昇が続いており、当分続く可能性が高い

●理由として以下のことがある1)以前と比べてシンガポール人の生活が豊かになりシンガポールの人達が自分の住まいとしてコンドを購入して、投資賃貸に回さなくなっていること、(2)公共住宅の入居が遅れておりコンドに一旦入居しなくてはならないこと(特に結婚を控えた若い方々)、(3)不動産価格の上昇のタイミングで自分の不動産を売却してとりあえず次を買わずに賃貸する人が増えたということ

●さらにコロナの終息にともない日本と比べて欧米とシンガポールの行き来がより活発になり、欧米諸国の人達の賃貸需要が増えていること、香港からシンガポールに駐在員が移動してくること

●これらの動きに加えて、不動産価格の上昇、不動産維持費、GSTの上昇なども今後さらに賃料を押し上げる可能性がある