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第133回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

家の返却にあたってはどのような問題が発生するかケースバイケースで非常に見通しが立てにくい
シンガポールのように多民族国家の場合<普通>や<常識>という概念が通用しにくい
敷金の返金は家を引き渡してから二週間後と契約書に記載されているが実際はそれ以上かかるケースが多い
敷金返金が決着しない主理由は修繕項目とその見積費用
敷金を小切手で回収したらなるべく早く口座に入金する
どうしても敷金返金について決着しない場合には簡易裁判所で少額訴訟を起こす必要がある

ということでした。

今回は敷金を回収するための最終手段となる、少額訴訟等について不動産業者の山田さんが佐藤さんに説明します。

「少額訴訟というのはどういう制度なのでしょうか?」と佐藤さん。「名前のとおり金額があまり大きくない、1万シンガポールドル以下の金銭についての訴訟です。基本的には請求書を相手方に発行して、その金額が支払われなければこの簡易裁判所に申し出て支払いを求める方法です」と山田さん。「裁判をするということでしょうか?」「裁判というよりは仲裁に近い方法です。申し立てをすると裁判所が半ば強制的に相手を呼び出してくれて、裁判所内で相手方と一対一の面談を仲裁人をはさんで協議する、ということですので裁判というよりは仲裁という形をとります」と山田さん。「どのようにして申し立てるのでしょうか?」「問題となっている状況について簡単な事情説明のレポートを提出して、100-200ドル位(請求金額の額によって異なります)の費用を支払って相手方を呼び出してもらいます。呼び出しは裁判所の召喚状をもってなされますので、受け取るとかなりインパクトがあります」と山田さん。「なるほど、それから相手を裁判所に呼び出す訳ですね」と佐藤さん。「裁判所の召喚状がくると普通の人は結構びっくりして、ここでこれまで協議してきたことが裁判所に行く前に決着することもあります」と山田さん。「なるほど、先方としては裁判になるくらいだったら早めに決着しようということですね」「おっしゃるとおりです。この方法をとることで相手にプレッシャーをかけて問題を解決するということです」と山田さん。「もし先方が呼び出しに応じて裁判所に来た場合どのような手続をとるのでしょうか?」「裁判といっても仲裁のようなもので、調停をする人と訴えを起こした人、訴えられた人の3人で協議することになり、それ以上の人数は認められません」「なるほど当事者しかダメ、ということですね」と佐藤さん。「そうです。この3人で話し合うわけですが、調停する人が最終的に二人の意見を聞いて妥協案を提示し、それぞれが納得すればよし、納得しなければ本格的な裁判、ということになります」と佐藤さん。「本格的な裁判になるとどうなるのでしょうか?」「正式な弁護士を委任して手続を進めるのですが、多分その弁護士費用だけで数万ドルになりますので、費用対効果の点では正式な訴訟は避けた方が良いでしょう」と山田さん。

〜 POINT 〜

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敷金を取り返す方法としては少額訴訟を利用する方法がある
申請の為には経緯を説明した文書と訴える額により手続費用が100-200ドル位かかる
裁判所から召喚状を相手が受け取った段階で相手が妥協して決着することもある
裁判とはいうものの実際は調停のようなもので結果に調停案に強制力はない
次の弁護士を使った訴訟にすすむには費用対効果からするとあまり意味はない

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