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第42回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○コンドミニアムでは定期的に害虫駆除を行われている。

○その際にダスターシュートに目張りをしておくことで害虫の進入をある程度防ぐことができる。

○使わない床の排水口も目張りをしておくと効果的。

○アリの駆除は結構難しい。

○ヤモリをいないところをシンガポールで探すのはほぼ不可能。

ということでした。

「害虫について特に問題になるケースではどのようなことがあるのでしょうか」と佐藤さん。「そうですね、かなり難しい問題としてはシロアリのことが考えられます」と山田さん。「シロアリですか。日本ではあまり聞きませんがどういうことでしょうか」と佐藤さん。「日本では住宅の基礎を作るときに、土壌や住宅の基礎となる部分に防蟻加工をするのが一般的です。そのため、住宅の基礎部分からシロアリが発生することはあまりありません。また、住宅建材や家具についても同様の加工がなされます。そのために、余程古い建物出ないかぎりあまりシロアリの問題は発生しません。シンガポールではこの措置が十分でないように思われます」と山田さん。「シロアリが発生するとどうなるんでしょうか」と佐藤さん。「まず、皆さんが気づかれるのは作り付けのワードローブやキャビネットの周辺からシロアリが発生し、その周辺の木がボコボコになります。また、周辺の木部に小さい穴がいっぱい開くことになります。こうなると完全にシロアリが発生していると言っていいでしょう」と山田さん。「どうすれば退治できるんでしょうか」と佐藤さん。「当然、ペストコントロールを行い、そこにいるシロアリやその巣を潰すことになりますが、巣は大抵そのコンドミニアムの地面の下にあることが多く、一度ペストコントロールをしても、またしばらくすると発生するということになります。これはそのユニットまでのアリの道ができているため再発生する可能性が高いといえます」と山田さん。「もしそんなことが発生したら、契約の解約はできるんでしょうか。契約書には平穏無事にそのユニットをテナントに占有させる義務が家主にはあると聞いていますが、そんな状態では平穏無事に占有してるとは言えないんじゃないですか」と佐藤さん。「そうですね、平穏無事に占有するということはクワイアット・エンジョイメントとして、ほとんどの契約書に定義されていますが、この定義は法的にはかなり範囲が広く解釈されています。もしシロアリが発生しても家主がその駆除についてちゃんと対応していれば、家主はテナントが平穏無事に占有するための義務を履行していると見なされます。たとえシロアリが何度も発生しても、その都度駆除をちゃんと行っていれば、極端な話毎月シロアリが発生しても、駆除の措置をとっていれば家主の義務は履行されたことになり、家主の義務違反により契約を解約することはできません」と山田さん。「そうすると、何度もそんな問題が起こったとしても、我々からは中途解約はできないということですか」と佐藤さん。「残念ながらそうです。家主さんが余程物分かりのよい人であれば別ですが、基本的に家主さんがその問題に対して解決のために、何らかの対応をとっているような場合にはテナントから一方的に解約することは法的にはかなり難しいと言えます」と山田さん。

ポイント

○シロアリの問題が発生すると再発する可能性がある。
○一方で再発したからといって賃貸借契約をテナントから解除することはできない。
○家主が発生した問題に対して対応している場合にはテナントの平穏無事に占有する権利を侵しているとは言えず、テナントから一方的に解約することは法的に難しい。