シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第22回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○最低でも賃貸借契約書の基本事項、家賃、敷金、契約期間、物件住所は確認する。
○契約書の内容を説明できないような不動産業者は利用しない。
○ローカルスタッフに契約書を見てもらう。
○法人家主の場合は契約の内容が厳しくなっていることが多いが、実務上あまり問題にならない。
ということでした。
今回は山田さんより契約書の中身についてのポイントの説明を受けます。「大体の内容はわかりましたが、どこがポイントになるのでしょうか」と佐藤さん。「以前ご説明申し上げましたように、基本的にレターオブインテントに重要なところが記載されています。契約書はその内容と一致していなくてはなりませんので、レターオブインンテントに書かれていることがそのまま正確に契約書に記載されているかどうかを確認する必要があります。しかし、レターオブインテントはあくまでも賃貸借条件の骨子ですので、すべてを網羅しているわけではありません」と山田さん。「どのようなことが契約書に入ってくるのですか」と佐藤さん。「家主さんが法人の場合に良くみられる条文は、共益費が増額された時に、賃料の共益費部分も増額するという条項です。これは賃貸借期間内であっても、もし共益費が上がればその部分賃料も上がるということで、さらに敷金は賃料の何ヶ月分ということで決まっていますので、敷金の積み増しも必要になります」「賃貸借期間内でも賃料があがることがあるんですか。それはちょっと会社の予算がありますから困りますね、他にはどんなことが注意点ですか」と佐藤さん。「わりと一般的なものとしては、入居中もしくは退去前にカーテンのクリーニングをテナントさんがやらなければならないとされていることがあります。家主さんは大抵物件を貸す前に、カーテンを買ったりクリーニングに出しますので、礼儀としてこのような条項が入っていなくても、クリーニングに出したほうが無難です。また、以前ご説明しましたように、転勤などご自身の意志ではなくて、シンガポールを離れる場合には、一定の予告をしたうえで契約解除できます(ディプロマティッククローズ)。この際に、家主さんが2年契約を前提に私どもの様な仲介業者に支払った手数料、通常家賃の1ケ月相当分ですが、これの2年に満たない部分相当の仲介手数料の返還を求めるような条項もあります。この条項はかなり広く適用されておりますので、ご自身がいつごろ転勤されるのかを考慮にいれて更新や契約をする必要があると思います」と山田さん。「私の場合は来たばかりだから、2年は大丈夫ですが、一応本社の総務にもそういう費用があることを考えて転勤を考えてもらわないとならないわけですね」
○契約書の内容はレターオブインテントと完全に一致していなくてはならない。
○共益費の値上げにより賃料、敷金が増額されることがある。
○カーテンのクリーニングを求められることがあるが、やっておいた方が無難。
○中途解約をすると家主さんが支払った仲介手数料の一部の返還を求められることがある。