シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第21回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○契約書が最終的なもので、家の引渡前には必ず契約書に双方が署名している必要がある。
○家の引渡時に最後の前家賃を支払うことが望ましいが、引渡前に残額を要求されることが結構ある。
○御家族の引越は家の引渡と同時には行わない。
ということでした。
「契約書についてはどんなところに気をつければいいんでしょうか。日本語でも契約書は難しいことが書いてあって良く分からないのに、英語で書かれていたらなおさらのことです」「日本の場合は借地借家法や民法といった法律で相当カバーされますので、文房具屋さんでも賃貸借契約書を売っているほど内容は簡単になっています。シンガポールをはじめとする外国では、日本のような借地借家法といったテナントを保護するような法律は基本的にはありませんので、家主さんと結ぶ契約書が全てです。そのため、できれば内容を会社のローカルスタッフに見ておいてもらうなり、御自身で内容を確認されたほうがよいでしょう」と山田さん。「うちは小所帯なので、アシスタントの女の子しかいないんです」と佐藤さん。「佐藤さんの場合は、私が内容をざっと確認はいたしますが、できれば佐藤さんも一応目を通しておいていただいた方がよろしいでしょう」と山田さん。「でも、どんなところに注意すればいいのかわからなくて」と佐藤さん。「ポイントは賃料、敷金の金額と契約期間などの日付、家主の名前と住所、借手である自分の会社名と住所、借りる物件の住所が基本です。契約書の構成はこの基本事項の後に、テナントの義務、家主の義務そして双方が守らなくてはならない一般条項の順に記載されています」「かなり内容は多いのではないでしょうか」と佐藤さん。「一般的なものはA4サイズで6、7枚くらいで、家主が法人の場合はその倍位の分量になります」と山田さん。「結構ありますね。それを全部読まないといけないのですか」と佐藤さん。「後の誤解をさけるためにも、できれば読んでいただいた方が良いと思います。ポイントはテナントの義務の分量は一般的に家主の義務の分量より圧倒的に多いとはいうものの、家主の義務もしっかりと明示されておくことが必要であるということと、レターオブインテントに書かれてあることがちゃんと契約書に入っているかということです。但し、日本でもそうですが、家主が法人の場合必要以上にきびしく書かれていることがありますが、実務上あまり気にすることはないと思います。法人であるだけに、どのような事態になっても会社が不利益をこうむらないような書き方になっていますが、一方で家主のプロですので、やるべきことは個人の家主さんに比べてしっかりやってくれるところが多く、極力トラブルにならないように対応してくれますので、あまり法律問題にまで発展しないからです」
○最低でも賃貸借契約書の基本事項、家賃、敷金、契約期間、物件住所は確認する。
○契約書の内容を説明できないような不動産業者は利用しない。
○ローカルスタッフに契約書を見てもらう。
○法人家主の場合は契約の内容が厳しくなっていることが多いが、実務上あまり問題にならない。