シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第18回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○小修繕については一定金額までテナント負担となることが一般的、但しテナントの過失による場合は全額負担。
○入居からどのくらい家主が修理に責任をもってくれるのかをはっきりさせる。
○取り決めた金額を超えた場合、どのように負担するのかを明示する必要がある。
「これで大体レターオブインテントの要求内容が固まりましたので、いよいよ家主さんに条件提示をしましょう」と不動産業者の山田さん。「できれば、万一のことを考えて第二候補のものも一緒に交渉できますか?」と佐藤さん。「いやそれはやめておいた方が良いと思います。めったにありませんが、もし両方の家主さんがすんなりこちらの条件を満たしてくれた場合、ややこしいことになりかねません。以前に御説明いたしましたように、レターオブインテントの意味は、こちらの提示した条件を満たしてくれればその物件を借りますという申し込みです。ですからもし両方の家主さんがその条件で結構ですという回答がきた場合、道義的にかなり問題になります」と山田さん。「そうすると一つづ交渉をしていった方が良いということですね」「そうです。但し、こちらの条件からあまりにもかけ離れているような場合には、すぐ次の候補物件の交渉をはじめるのが良いでしょう」と山田さん。「でも本当は第一候補が気に入っているんですけど」と佐藤さん。「私としても佐藤さんの御気持ちは十分承知しております。しかし、相手がある話ですので極力山田さんの条件を飲んで貰えるように交渉しますが、もし全然飲んでもらえない場合には第二候補物件で再交渉をしたほうが良いかもしれません」「それはどうしてですか」と佐藤さん。「こちらの要求のほとんどを断ってくる家主さんの場合、どうしてもこちらが譲歩せざるを得なくなり、こちらが譲歩すると見るとますます強気に出てくる家主さんがいます。ある程度こちらの要求を聞いてくれる家主さんの場合は、双方少しずつ妥協しあって御話をまとめることができますが、家主さん、あるいはテナントさんの一方が強行にその要求を主張する場合には交渉がまとまりにくいのが現実です。また、そういう家主さんの場合、入居後もその強気の姿勢を崩さず、修理などいろいろなトラブルの原因をテナントにあると決めつける人が多く、十分な対応をしてもらえないばかりか、退去した後に、なんらかんらと理由をつけて敷金を返してくれないといったことにもなりかねません」と山田さん。「なるほど、そうすると住宅を選ぶ場合は立地、ファシリティや間取りだけではなく、家主さんにも十分注意しなくてはいけないということですね」と佐藤さん。「おっしゃるとおりです。ですので、以前申し上げましたようにサービスアパートや法人所有の物件というのも一つのチョイスですので、立地、ファシリティ、間取り、家主さんの質といった要素の中でどこに重点をおくかによって選び方が少しずつ違ってくると思います」
○レターオブインテントは一度に複数の物件に出さない方が良い。
○こちらの要求を全て断ってくる家主さんは要注意、入居後の問題処理、敷金の回収時に問題がでる可能性がある。
○住宅選びには家主さんの素性、対応も大切な判断材料になる。