シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第11回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○もし日本人家主さんの物件にあたれば一考の価値あり。
○法人家主の物件が無難。
○お子様が小さければサービスアパートも一考の余地あり。ということでした。
不動産業者の山田さんの案内で佐藤さんはようやく住宅を決めることができました。「これからいよいよ山田さんのご希望条件を家主さんと交渉しなくてはなりませんので、どこまでその条件を勝ち取ることができるかがポイントになってきます」と山田さん。「そうすると、私が決めても相手がダメということもあるということですか」と佐藤さん。「もちろん、そうならないように最善を尽くします。しかし、これは交渉事ですのでどちらが、どのくらい強い態度で交渉に臨むことができるかがポイントになります。そのため、私はいつもお客様に、第二、第三の候補物件をご用意していただくようにお願いしております。と言いますのも、もしどうしてもこの物件でないとダメという雰囲気が相手に伝わると多くの家主さんはこちらの要求を拒絶しがちになります」「うーん、難しいですね。私は今回の物件がとっても気にいって、どうしてもこれにしたいのですが。なんとかなりませんか」と佐藤さん。「もちろん、ご希望される条件が、一般的なものであれば交渉で通すことも可能です。しかし、その常識的な条件する拒絶されるようなケースも時々見受けられます。そのような場合、別な物件を検討した方が良いかもしれません」と山田さん。「わかりました。ところで、今後はどのような手続きをとれば良いのですか」と佐藤さん。「まず、交渉のたたき台としてレターオブインテントという賃借申込のドラフトを相手に提出し、それに基づいて賃貸条件の詰めを行います。合意できた時点で賃料の1ケ月相当分のお金を予約金として家主さんに渡し、家主さんの署名をもらいます。この時点でその物件を押さえることができます。よく日本では保留という形がとられますが、シンガポールでは基本的にこの予約金を入れなければ物件を押さえることはできません」「もし、途中で気がかわった場合は取り消すことができるんですか」と佐藤さん。「このレターオブインテントにはSUBJECT TO CONTRACTという文言が必ず入っています。この意味は契約書が最終的なものであるという意味です」と山田さん。「そうすると払ったお金は返ってくるのですか」と佐藤さん。「その部分については法的な取り決めはなく、レターオブインテントでの記述によります。また、他の業者さんの場合、なにも記述がないケースなどは、市場慣行として家主さんが没収してしまうこともあります。その意味でこのレタオブインテントは法律的な拘束力は契約書ほどではないにしても、実務上ある程度拘束力があるので慎重に内容を検討しなくてはなりません。」
○良い賃貸条件を引きだすためには複数候補物件を持つことが必要。
○レターオブインテントは契約の要旨。
○物件を予約する為には賃料の1ケ月相当分の予約金が必要。
○予約金を払った場合のキャンセルは難しい。