シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第127回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
◉ 敷金が返金されない場合には少額訴訟の手続をとることも有効
◉ 問題が発生してから1年以内の案件に限る
◉ この少額訴訟のための裁判所から呼び出しがあった段階で敷金回収ができることがある
◉ 少額訴訟は仲裁裁定のため法的拘束力はない
◉ 本当に裁判になった時には訴えを起こした側に有利に働く
◉ 但し、実際には敷金の額に比べて訴訟費用の方が高いのでなかなか裁判にはなりにくい
◉ そこまで考えると基本的にはどのような人が家主であるかを確認して住宅を決める
◉ 後は家を返却する時に家主さんとなるべくもめないように注意して住宅を使用する
ということでした。
今回は佐藤さんが山田さんに中途解約について解説を受けます。
「私の知人で契約の途中で家族が帰国したので、中途で解約しようと思ったところ家主さんに断れたケースがありますが、このような場合どうすれば良いのでしょうか?」と佐藤さん。「基本的にはお話の様に家主さんに断られてしまってもしょうがないのが実情です」と山田さん。「契約にはディプロマティッククローズがあって、シンガポール国外に転勤等で出る場合には契約を解約できるのではないのでしょうか?」と佐藤さん。「ディプロマティッククローズは確かに転勤等の事情により国外に出る場合には契約を2ヶ月の書面による事前通知で解約できますが、これはあくまでのご主人のみに適用されるもので家族の帰国の場合には適用されません」と山田さん。「それは大変ですね、家族が帰国してしまうと住宅の予算が減額されて今の3ベッドルームの賃料を支払うことができなくなってしまいますが、どうすれば良いでしょうか」と佐藤さん。「ご説明申し上げました用に、法的には家主の同意無しに解約することはできませんので、個別に家主さんにお願いしてどのくらいのペナルティを支払えば解約してくれるのかを確認するとともに、会社に事情を説明して自己負担を減らしてもらうようにお願いするしか方法はありません」と山田さん。「家主さんは認めてくれるのでしょうか?」「それは何とも言えません。厳しい家主さんですと中途解約は一切認めてくれない、と言うケースもあります」と山田さん。「そのような事態を避けるための方法は何かあるのでしょうか?」と佐藤さん。「事前に新たに契約をする際にディプロマティッククローズの適用を家族まで広げるように記載しておけば問題なく解約できると思いますが、その場合でも家族のディペンデントパスの解約の証明が必要になります」と山田さん。「また、更新の場合に受験などで将来家族数が変わる場合に住宅を転居できるように2年更新ではなく1年更新にすることも考えておかなくてはなりません」と山田さん。「そんなに自由に契約の内容を変えることはできるのでしょうか?」と佐藤さん。「会社のひな形を利用する場合でも、それぞれの事情により文言を変更することは可能です。そのため、レターオブインテントの段階でそのような変更をきちんと書いておくことが必要です。」
〜 POINT 〜
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◉ ディプロマティッククローズは通常家族の帰国には適用されない
◉ 家族にも適用させたい場合はその旨きちんと契約書に記載する
◉ 更新の際に将来受験などけ家族数が変更される可能性がある場合には2年更新ではなく1年更新とする
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