シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第119回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○写真はなるべく多く撮影し将来の記録とするようにする。
○家を家主さんに返却するときには日本よりもめる可能性が高い。
○最初の1ヶ月に修理すべき箇所だけでなく、キズやシミがある部分など記録に取っておく必要がある。
○住み始めた時と家を返す時の家主さんが異なる場合もあり、記録がないと最初からあったキズ、シミまで補修費用を退去時に請求される恐れがある。
ということでした。
「どのようなところがよく問題になるのでしょうか?」と佐藤さん。「まず、全部の窓の鍵がちゃんとかかるかどうか、各ベッドルームの鍵がちゃんとかかるかどうか、ワードローブにある引き出しの鍵がちゃんとあって使うことができるかどうか、といったところがよく問題になります」と不動産業者の山田さん。「そうですね、内の引き違いのバルコニーの鍵はちゃんと閉まらないのでそのままにしてありますが、家主に最初に言っておいた方が良いということですね」「リビングルームなどのガラスの引き違い戸の鍵はよく壊れており、直してもまたすぐに壊れてしまいます」と山田さん。「そのような場合どうすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「洗面の栓もそうですが、このようなスライディングドアの鍵は直してもすぐにダメになってしまうので、最初から壊れていて直さなくて良い、と記録した方が良いでしょう。同じように、最初から使用しないことがわかっている電化製品、たとえばコーヒーメーカー、オーブン、食器洗浄機、掃除機、アイロンなどについては使わないので、壊れていても責任をとらない、と家の引渡の際のインベントリーチェックで先方に申し入れをして記録しておいてもらうことが良いでしょう」と山田さん。「そうするとすでにある掃除機やアイロンなどの弱電製品についてはインベントリーチェックの時に不要だから撤去してもらっておいた方が良いということですね」と佐藤さん。「他の方法としては置いておいても良いがインベントリーには記載しない、あるいはdispensable itemとして壊れても責任を取らない、としておいた方が良いでしょう」と山田さん。「なるほど、先ほどの鍵の件はどういうことでしょうか」と佐藤さん。「日本の人は基本的にベッドルームの鍵を使用しない方がほとんどで、家を家主さんに返すときに家主がベッドルームの鍵がかかるかどうかを確認した時に、ときどきかからないことがあります。そのような時に家主さんは鍵の修理交換を要求してきます。」と山田さん。「鍵を全然使っていなくてもその費用を持たなくてはいけないのですか?」「そうです。<1回も使っていない>ということは費用負担免除の対象にはなりません。家を使っていたのはお客様ですので、その家を良好な状態に保つ義務がありますので、<使っていない>ということは管理が十分でないと判断され、修理費用負担が発生します」「なるほど、そうすると家を引き渡された最初の1ヶ月が勝負ということですね」と佐藤さん。
○窓の鍵、各ベッドルームの鍵、ワードローブにある引き出しの鍵がちゃんと作動するかどうかを確認。
○スライディングドアの鍵や洗面の栓など直してもすぐに壊れそうなものは修理をせずに記録事項とする。
○電化製品は使わないと壊れる。壊れた場合<使っていない>ということは免責にならない。
○使用しない場合には使用しないので壊れても責任を取らない、など事前に条件に入れておくことがベター。
○使わない、あるいはすぐに壊れることがわかっているものは撤去もしくはdispensable itemとしてインベントリーリストに記載。