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シンガポールの住宅・不動産事情

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第118回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

賃貸借期間中の自分の不動産業者のサービスが悪いからと言って変更はできない。​
契約更新と新規契約を別々の業者で検討・交渉しようとすることは困難

両方をワンセットで行うか、解約・返却は現在の業者、新規は別な業者という方法ば望ましい

不動産業界でも双方代理は認められていない(同じ会社で二人の有資格者が関与する場合は別)

一旦別な業者さん(あるいは自分自身で)と見学した同じ物件を他の業者さんで決めることは難しい

 

 

ということでした。

今回は新しい住宅の鍵を受ける際の注意点について不動産業者の山田さんが佐藤さんに説明します。「山田さんにお願いして鍵の引渡をしてもらいましたが、その際にたくさん写真をとっていただいてありがとうございます」と佐藤さん。「弊社ではいつも二人一組で御案内、お世話をしますので、家をお客様に引き渡す際にはもう一人が写真を数百枚とりますが、もしローカルの不動産業者さんのように一人だけでお住まいの引渡を行うとするとそこまで一杯写真を撮ることができません」と山田さん。「やはり写真はそのくらい取らなければいけないのでしょうか?」と佐藤さん。「写真は撮らないより当然なるべく多くの写真を不具合の箇所だけでなく、不具合が起こりそうなものも撮影して記録しておいた方が将来家主さんに家を返す際のもめ事をすくなくすることができます」と山田さん。「家を家主さんに返す時には結構もめるのでしょうか?」と佐藤さん。「もめないときもありますが、一般的には日本よりももめ事が多いのが実際です。日本のように賃貸住宅に家具がなくて、同じ日本人同士であってももめるため、国土交通省では何が自然減耗として賃料に含まれる損傷であるのかという指標を作っています。ましてや外国で家具、カーテン照明器具、電化製品まで家主から提供されて、しかも文化が全く違う人種での取引ですから、もめない方がおかしいと言えると思います」と山田さん。「なるほどそのもめ事をなるべく少なくするために写真をとっておくということですね」「そうです。シンガポールでは最初の1ヶ月が免責期間ということになっており、この期間の修理費用は家主に全額負担してもらうことができます。そのため、最初に写真を十分とることができなかった場合には、この1ヶ月の間に、修理は必要無いけれども最初から壊れていた、キズ等がついていた、ということも修理事項とともに家主さん側に連絡しておいた方が良いでしょう」と山田さん。「どのようなことがよく問題になるのでしょうか?」と佐藤さん。「まず大理石や木の床の状態、壁が新たに塗装されていたかどうか、バスルームの床や壁に石けんシミがついていないかどうか、エアコンが埋め込みになっている場合の吹き出し口に黒カビがついていないかどうか、といったようなことを最初にきちんと記録して置く必要があります」と佐藤さん。「特にシンガポールでは不動産を持っている人のほとんどが個人で、投資目的ですので賃貸をしている物件でも転売が行われます。そのため、家を返す時の家主と住み始めた時の家主が異なることもよくあります。そのような場合、このような記録がないと、そのような汚れとかキズが最初は存在していないとされ、新しい家主から塗装、磨きなどの費用を退去の時に請求されることもあります」

ポイント

写真はなるべく多く撮影し将来の記録とするようにする
家を家主さんに返却するときには日本よりもめる可能性が高い
最初の1ヶ月に修理すべき箇所だけでなく、キズやシミがある部分など記録に取っておく必要がある
住み始めた時と家を返す時の家主さんが異なる場合もあり、記録がないと最初からあったキズ、シミまで補修費用を退去時に請求される恐れがある。