シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第117回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○家主側には必ず不動産業者がいる。
○家主側不動産業者は家主の連絡先を絶対に教えてくれない。
○家主側業者が不在の場合連絡が滞ることがある。
○そのため簡単な修理がすぐに行われるように小修繕条項がある。
○家主側業者は基本的に個人のステイタスで動いており会社とか上司は基本的に存在しない。
ということでした。
引き続き不動産業者の山田さんが説明します。
「私の知り合いで現在の自分の不動産業者のサービスが悪いので変更したい、というような人がいますが、そのようなことは可能なのでしょうか?」と佐藤さん。「通常私どもは2年の賃貸借契約ということで手数料をいただいておりますので、基本的に途中からお仕事をいただいてもフィーをいただくことができません。もっともお客様から残存期間相当分のフィーのお支払いをいただくことが可能な場合にはお受けすることもありますが、通常日系企業さんの場合は会社がそのようなことを認めてくれませんので、契約中途で不動産業者さんを変えいることは難しいと思います」と山田さん。「それであれば、その契約期間が終われば大丈夫なのでしょうか?」と佐藤さん。「もし今のお住まいのご更新もしくは移転のお話しを一緒にご検討いただければ可能ですが、更新は今の不動産業者さん、新規は別な業者さん、ということですと非常に難しいので、折角のお話しですが通常はご辞退させていただいております」と山田さん。「それはまたどうしてですか」「新規といってもそのお引っ越しのタイミングや現在の家の家主への返却、新居の鍵の受渡などのタイミングが関係しますので、片側だけのお世話というのは大変難しいことになります。また、現在のお住まいのご更新も同時にご検討されている場合にはなおのこと条件交渉等が難しくなるため、ご更新交渉と新規移転のご検討を両方いっぺんに行うか、現在のお住まいの返却を現在の不動産業者さんと行っていただいて、新規は別な不動産業者さんと行う、ということであれば可能です」と山田さん。「なるほど、たとえば自分の不動産業者をやめて、直接家主側と交渉するというのはどうでしょう?」と佐藤さん。「理論的には可能です。ただ、家主側に不動産業者がいていろいろ親切にしてくれるといっても彼らは基本的には家主側の不動産業で、賃借人の権利を守り便宜をはかってくれる義務は全くなく、しかもシンガポールでは不動産業者は弁護士と同じように同一人物(同じ会社で二人の有資格者が関与する場合は別)が双方代理をすることは認められておりません」「そうですか、そうすると全て私自身で基本的にはやらなくてはいけないと言うことになりちょっとキツイですね」と佐藤さん。「また、家の御案内の時もそうですが、一旦別な不動産業者さんを通じて家をご見学されると、後で本当に使いたい不動産業者と見学、交渉をしようとしてもその家が同じ家だとすると先方から断られることもあります。これはもともと御案内した不動産業者からその家主側不動産業者にクレーム等が行きトラブルの元となるからです」と佐藤さん。
○賃貸借期間中の自分の不動産業者のサービスが悪いからと言って変更はできない。
○契約更新と新規契約を別々の業者で検討・交渉しようとすることは困難。
○両方をワンセットで行うか、解約・返却は現在の業者、新規は別な業者という方法ば望ましい。
○不動産業界でも双方代理は認められていない(同じ会社で二人の有資格者が関与する場合は別)。
○一旦別な業者さん(あるいは自分自身で)と見学した同じ物件を他の業者さんで決めることは難しい。