シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第113回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○日本人の不動産業者さんの数自体が相当少ない。
○日本語をしゃべる不動産業者が不動産業者として十分な経験、能力、知識があるかというと必ずしもそうではないケースがある。
○シンガポール人の不動産業者の場合、日本の慣行との比較、日本並みの十分な説明等が十分でないケースもある。
○さらに全ての不動産取引慣行、建築設備事情などが日本と異なるので対応が難しいことが多い。
ということでした。
。「昔は誰でも不動産業者になれたのが、現在では資格試験があり、いろいろ規制があると聞いていますが、業者さんの質は上がってきているのでしょうか?」と佐藤さん。「現在の規制がスタートしたのが2013年ころですが、当時と比べると素人のような人は少なくなりましたが、基本的に個人で活動しているのでやはり大分日本とは違います」と山田さん。「日本のように不動産会社さんに努めて営業をしているのではないのですか?」と佐藤さん。「日本と異なりほとんどの外国、特に東南アジアでは不動産の売買や賃貸を取り扱っている仲介業務は基本的に個人のステイタスで行われています。そのためこの人達が問題を起こしても彼らの上司や勤め先の会社が責任をとってくれるわけではありません」と山田さん。「でも皆さんどこかの会社名前の入った名刺をもっていますが、その会社が問題があったら責任をとってくれるのではないのですか?」と佐藤さん。「ちがいます。彼らの会社はあくまでも会社の名前を貸して請求書や経理処理などのアドミの仕事を請け負っているだけで、取引の責任は基本的には負ってくれません。極端なケースではこのような業者さんが逆ギレして何もしてくれなくても、彼らの会社は一切責任を負わないのが通例です」と山田さん。「そのような問題が起こったらどうすれば良いのでしょうか?」と佐藤さん。「基本的にはどうしようもありません。そのため、私どもでは御案内をする際に、物件も大事ですがどのような業者さんが家主さんの業者さんになっているかを注意しますが、皆様このようなことがわからず、どうしても目に見える物件そのものだけで選んでしまい、入居してからいろいろな問題が発生しても家主さんの業者がなにもしてくれず、最終的には泣き寝入りをせざるを得ないことがよく発生します」と山田さん。「なるほど、家を選ぶ場合には、家そのものだけでなく相手の不動産業者さんにも注意しないといけない、ということですね」「そうですね、もうすでに入居してしまった場合、怒りにまかせて苦情を言いすぎるとこのような業者さんが感情的に逆ギレしてしまい、事態がなお一層わるくなることもありますので、相手をおだてながら話しをしていかないといけない、ということになります」と山田さん。「何か良い方法はないのでしょうか?」と佐藤さん。「業者さんは必ず当局に登録していなくてはならないので、CEA—Council for Estate Agenciesという監督官庁に苦情を申し立てるのがある程度有効ですが、あまり熱心に業務を行って居ない人の場合には、このライセンスを返上して全く家主側と連絡がつかなくなる、という最悪な事態も想定されますので、あくまでも先方にクレームを言う際の方便として利用されるのが良いでしょう」
○シンガポールの不動産仲介業者は基本的に全て個人営業。
○日系不動産以外は仲介業者の会社はそれぞれの営業担当の責任をとらない。
○そのため個人不動産業者をおだてながら逆ギレさせないようにする。
○苦情申し立て機関(監督官庁)としてはCEA (Council for Estate Agencies)がある。