シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第110回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん
前回の説明はシンガポールの特殊事情の内(3)賃貸借契約の特殊条項についてご説明しました。
前回のポイントは、
○新築未入居の住宅は入居後の修理が通常よりも多く発生する傾向にある。
○シンガポールの住宅は価格賃料とも高額のわりに中身がついてきていない。
○良くあるトラブルはサッシの鍵が閉まらない、照明器具がよく壊れる、配管から水漏れがする、排水がスムーズに行われない、水圧が低い、ビルトインの家電製品が良く壊れるで、場合によっては修理不能、もしくは繰り返し修理が必要ということもある。
ということでした。
今回は不動産仲介業者の山田さんが修理業者について佐藤さんに説明をします。
「シンガポールの住宅は賃料が高額の割にトラブルが多いのですね」と佐藤さん。「ご説明したようにいろいろな物が壊れたり、きちんと作動しないことが以外に多いのが実際です」と山田さん。「そのような時、誰に頼めば良いのでしょうか?」と佐藤さん。「私どもにご連絡いただいても結構ですし、もしご自身でどなたか修理業者をご存知であれば連絡しいただいても問題はありません。ただ、以前ご説明申し上げました様に、家主さんによってはもし修理費用が高額になりそうな場合、契約には一定金額(大抵150ドルか200ドル)を超えた場合、超えた分を家主が負担しなくてはならないので、そのような場合には事前に家主に連絡してから修理をして欲しい旨規定されている場合があります」と山田さん。「東南アジアでは時間にルーズだと聞きますが、きちんと修理業者さんは来てくれるのでしょうか?」と佐藤さん。「以前は大分いい加減でしたが、最近は割とちゃんと来てくれる修理業者が多くなりましたが、それでも日本のように時間がちゃんとしておらず、たとえば午後1時から3時の間というように大体2時間くらいの幅を指定されます」「修理はちゃんとやってくれるのでしょうか」と佐藤さん。「簡単な修理であればハンディマンと呼ばれる<何でも屋>のような修理業者が対応してくれるのですが、もともとの作りに問題があり、なかなか完全には修理ができないことがあり、修理が終わってからまた同じ箇所が数ヶ月後に壊れる、ということが起こります」「それはどういうことでしょうか?」「たとえば、洗面の水をためるストッパーという部分などは一度修理をしてもしばらくするとまた壊れてしまったり、窓のサッシなどの鍵がきちんとかからない、などといったことが発生します」「もともとがあまりちゃんとしていないということですか?」と佐藤さん。「シンガポールのコンドミニアムはここ10年頃から実需としていわゆる購入者本人が住むというようになりましたが、それ以前は投資用不動産として投資家に販売することがほとんどでした。また、長い間できるだけ持つように将来のメンテナンスができるように作られておらず、20年から30年後には取り壊してまた新しい物を作れば良い、というような考えで作られております」と佐藤さん。「どういうことでしょうか?」「つまり、投資家に売るためにはできるだけゴージャスに目を引くように作られ、住んでから住みやすい、メンテしやすい、という観点が欠落しており、配管や配線がどのようになっているかがほとんどわからないケースが実態です」
○最近は修理業者は時間通りに来るが概ね2時間の幅を指定されることが多い。
○高額修理になる可能性がある時には事前に家主の了解を取っておいた方が良い。
○洗面の水を溜めるストッパーやサッシの鍵などは直してもすぐ壊れる(修理業者の責任ではなく構造上の問題)。
○もともとがメンテしやすいようにできていないので、しょっちゅう修理が必要になるがなかなか完全に直すことができないケースが多い。
○修理業者は呼ぶだけでお金がかかることがあるので修理ができなくても支払いが必要になることがある。