シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第109回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、シンガポールの特殊事情
前回の説明はシンガポールの特殊事情の内(3)賃貸借契約の特殊条項、についてご説明しました。
前回のポイントは、
○転勤など自己の意思によらずにシンガポールを出国しなくてはならない場合に限り、1年経過してから2ヶ月のノーティスではじめて中途解約できる(通常の2年契約の場合)。
○自然に壊れた修理費用でも一定金額(150ドルから200ドル位)まで入居者が負担しなくてはなりません。
○エアコンの定期的なメンテナンスの責任がテナント(入居者)もしくは家主のいずれかが負担しなくてはならず、必ずしも家主が負担するものではない。
○賃貸借契約期間中であっても転売の見学を入居者に要請し実施することができる。
○賃貸借契約終了前の2ヶ月間は次のテナント候補に家主は家を見せることができ、入居者はそれに協力しなくてはならない
ということでした。
今回は(4)住宅の構造について不動産業者の山田さんが佐藤さんに説明します。
「シンガポールの住宅は家賃も値段もつくりの割に高すぎるという話しを聞きますが本当でしょうか」と佐藤さん。「そうですね、香港の方がもっと高いので、まだまだ高くなるという人もいますが、日本の駐在員の皆様がお選びになる家は購入すると大体1億円から2億円くらいするような住宅ですが、その割にはお粗末なものが多いのが実際です」と山田さん。「日本ですと完全に億ションで相当良いものが買えますね」「そうですね、でもこちらでの住宅の作りは日本と比べて相当粗雑にできており、新築といえどもご入居してから最初の半年くらいは家主さんの修理の為の管理をするために住んでいる、と言えるくらい修理が多いのが現実です」と佐藤さん。「どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?」と山田さん。「これは日本の場合、不動産開発業者がお客様に引き渡す前に相当なチェックが入るのに、当地では完成したら基本的にすぐに賃借人に渡そうとしますので、売主がきちんとチェックしておらず、場合によっては家主が非居住者の外国人の場合、鍵を受け取ってそのまま借りる人に家を渡してしまうからです」「なるほど、誰もきちんと確認せずに家を貸してしまうのですね」と山田さん。「また、これまでコンドミニアムは外国人への賃貸用、ということで作られており見てくれ重視で住んでからのメンテナンスなどのことに配慮されていないケースが多く見受けられます」と佐藤さん。「それはどういったところでしょうか?」「たとえばサッシの鍵が閉まらない、照明器具がよく壊れる、配管から水漏れがする、排水がスムーズに行われない、水圧が低い、ビルトインの家電製品が良く壊れる、といったような問題が頻発します」と佐藤さん。「なぜそのようなことが起こるのでしょうか?」と山田さん。「日本では<マンションは管理を買う>と言うくらい、長期保有、長期ベースで考えますが、シンガポールではあくまでも投資対象で、短期保有、転売益を狙っているため基本的に良い状態で長い間もたせようという考えがないことが一因だと思われます。ただ現在多くのシンガポールの人達が自己居住用にコンドミニアムを買い求めているため、徐々に建築の質は改善されるものと思われます」
○新築未入居の住宅は入居後の修理が通常よりも多く発生する傾向にある。
○シンガポールの住宅は価格賃料とも高額のわりに中身がついてきていない。
○良くあるトラブルはサッシの鍵が閉まらない、照明器具がよく壊れる、配管から水漏れがする、排水がスムーズに行われない、水圧が低い、ビルトインの家電製品が良く壊れるで、場合によっては修理不能、もしくは繰り返し修理が必要ということもある。