シンガポールの住宅・不動産事情
PRO
プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第108回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、シンガポールの特殊事情
(1)家主さん、(2)不動産業者さん、(3)賃貸借契約の特殊条項、(4)住宅の構造、(5)修理業者の技能とフォローのない家主さんについてご説明しました。
前回のポイントは、
○東南アジアの不動産仲介業者(特にローカル)は基本的に個人で上司も会社もその人の活動に責任をとることは余程の法令違反がない限りない。
○シンガポールや東南アジアでは不動産取引の重要事項説明の義務はない。
○物件の案内は基本的に有資格者でないと行う事ができない。
○数年まえにシンガポールでは不動産取引を規制するCEA(Council for Estate Agencies)という政府関連機関が設立されている。
ということでした。
今回は(3)賃貸借契約の特殊条項について不動産業者の山田さんが佐藤さんに説明いたします。
「日本の賃貸借契約とはどのようなところが違うのでしょうか?」と佐藤さん。「日本の場合借地借家法があり、賃借人の権利が強く保護されておりますが、最近では定期借家法により一定の賃貸借期間がくれば賃借人から家主は家を取り戻すことができるようになり、駐在員の皆様も帰国してから自分の家に住めるようにこの定期借家法により契約を結ぶ人が多いようです」と山田さん。「ということは、シンガポールでは賃借人より家主の方が強いということでしょうか?」と佐藤さん。「強いと言う言葉が適当かどうかは別として、契約ができなければすでに住んでいても退去しなくてはならない、ということです」「なるほど、他に気をつけないといけないことはなんでしょうか?」と山田さん。「日本と全く異なる点は1)日本のようにいつでも1ヶ月や2ヶ月前の予告で契約が解約できる訳ではなく、転勤など自己の意思によらずにシンガポールを出国しなくてはならない場合に限り、1年経過してから2ヶ月のノーティスではじめて解約できる(通常の2年契約の場合)、2)日本では自然に壊れた修理費用は基本的には家主が全額負担しますが、シンガポールでは一定金額(150ドルから200ドル位)まで入居者が負担しなくてはなりません、3)エアコンの定期的なメンテナンスの責任がテナント(入居者)もしくは家主のいずれかが負担しなくてはならず、必ずしも家主が負担するものではない、4)賃貸借契約期間中であっても家主は賃貸借契約付きで家を誰かに売ることができ、そのための見学を入居者に要請し実施することができる、5)賃貸借契約が期間満了や中途解約による場合、その事前予告期間(通常は2ヶ月)に次のテナント候補に家主は家を見せることができ、入居者はそれに協力しなくてはならない、ということなどがあります」と山田さん。「自然に壊れたものでも入居者やテナントが負担しなくてはならない、というのは随分ですね」と佐藤さん。「そうですね、シンガポールでは不在家主やしょっちゅう海外に出ている人が多く、家主さんの修理対応が遅れることが多く、そのため入居者やテナントが自分で行った方が早いものの、その全額を負担するのは納得がいかない、というような歴史から自然発生的に広がっていったというような経緯があるようです」と山田さん。
○転勤など自己の意思によらずにシンガポールを出国しなくてはならない場合に限り、1年経過してから2ヶ月のノーティスではじめて中途解約できる(通常の2年契約の場合)。
○自然に壊れた修理費用でも一定金額(150ドルから200ドル位)まで入居者が負担しなくてはなりません。
○エアコンの定期的なメンテナンスの責任がテナント(入居者)もしくは家主のいずれかが負担しなくてはならず、必ずしも家主が負担するものではない。
○賃貸借契約期間中であっても転売の見学を入居者に要請し実施することができる。
○賃貸借契約終了前の2ヶ月間は次のテナント候補に家主は家を見せることができ、入居者はそれに協力しなくてはならない。