シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第107回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、シンガポールの特殊事情
(1)家主さん、(2)不動産業者さん、(3)賃貸借契約の特殊条項、(4)住宅の構造、(5)修理業者の技能とフォローのない家主さんについてご説明しました。
前回のポイントは、
○家主さんは基本的に全て個人。
○家主さん毎に対応がまちまちで一定していない。
○同じコンドの同じ間取りでも家主さんによっては内容が全く異なる。
○家主さんが個人で性格が異なる上に人種も異なるため日本人の常識は通用しない。
○家賃が高いからといってより良いサービスの提供が家主から受けられるとは考えない方が良い。
ということでした。
今回は不動産業者の山田さんがお客さんである佐藤さんに不動産仲介業者について説明をいたします。
「日本の家主さんとは大分違うのがよくわかりました。特にシンガポールでは民族が違う上にいろいろな国から外国人が来るので余計大変ですね」と佐藤さん。「家主さんが千差万別な上、仲立ちする不動産業者も大分日本と状況が違います」と不動産業者の山田さん。「どのように違うのでしょうか?」「どちらかと言うと日本の事情の方が外国よりことなるかもしれません。日本では大抵不動産仲介業者さんといえども会社に属しており、上司の方やその活動に会社が責任を持つことがほとんどですが、外国、特にこの東南アジアでは家主さんと同じように個人と考えなくてはいけません」と山田さん。「ということは不動産業者さんが何か問題を起こしたとして、その人の上司や会社はいないのでしょうか?」と佐藤さん。「少人数でやっている場合、上司・部下というよりは単に<仲間>といった関係で、なかなかきちんとした対応が期待できないのが実態です」と山田さん。「でも私の知っている不動産業者さんは大きな会社に属しているようですが、違うのでしょうか?」と佐藤さん。「基本的に当地の不動産業者さんはわずかな例を除いて完全歩合制度になっていて、大きな会社の名前は単に名前を貸してそのロイヤルティをとっているだけで、ロイヤルティは稼いだ仲介手数料の10-20%がその会社にいくだけですので、その不動産業者が問題を起こしたとしても余程法的に問題があるようなことでない限り会社は責任を取らないのが実態です」と山田さん。「そうですか、私はてっきりその不動産業者さんの会社が大きいから安心できると思っていたのですが、そうではないのですね?」と佐藤さん。「幾つかの日系不動産業者の場合には会社が責任をとりますが、多くのローカルの不動産会社はそれぞれの業者の個人責任として、問題が発生しても会社として取り扱ってくれないことに注意が必要です」と山田さん。「それは大変ですね、日本ですと不動産取引については重要事項説明などが宅地建物取引士(以前の宅地建物取引主任者)によりなされなくてはならないはずですが、そのような規制はないのでしょうか?」と佐藤さん。「数年前にこれまで野放しだったそのような不動産取引を規制するために、CEA(Council for Estate Agencies)という政府関連機関が設立され、いろいろな取り締まりや規制が行われていますが、日本のような重要事項説明の義務はないので、賃貸借契約を巡って説明不足からくる様々な問題があります。
○東南アジアの不動産仲介業者(特にローカル)は基本的に個人で上司も会社もその人の活動に責任をとることは余程の法令違反がない限りない。
○シンガポールや東南アジアでは不動産取引の重要事項説明の義務はない。
○物件の案内は基本的に有資格者でないと行う事ができない。
○数年まえにシンガポールでは不動産取引を規制するCEA(Council for Estate Agencies)という政府関連機関が設立されている。