シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第106回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○現在の住宅賃料は統計的に言えば2013年8月のピーク時と比べると12.2%下落。
○全てにこの数字が当てはまるわけではない。
○郊外、古め、超高級物件の賃料は下落、中心部、新しめ、日本人人気物件の賃料は横ばい。
○賃料動向は売買動向と比べて半年くらいタイムラグがある。
○都市再開発局(Urban Re-development Authority、略してURA)の情報が有用。
ということでした。
今回は不動産業者の山田さんがお客さんである佐藤さんにシンガポール住宅賃借の特殊事情を説明します。
「これまでいろいろ伺いましたが、特にはじめてシンガポールにいらっしゃる方に対する賃貸住宅についてのアドバイスとしてはどのようなことがありますでしょうか?」と佐藤さん。「大きなポイントとしては、(1)家主さん、(2)不動産業者さん、(3)賃貸借契約の特殊条項、(4)住宅の構造、(5)修理業者の技能とフォロー、といった内容になると思います」と山田さん。
「これだけのポイントが特殊ということは、全く日本と違うと考えた方が良いということですね」と佐藤さん。「そうですね、これらの事になれるのにはちょっと時間がかかるでしょう」と山田さん。「家主さんというのはこれまでのご説明ではほとんど個人家主さん、ということで賃料、要求内容、対応、が全く一定していない、ということでしたね」と佐藤さん。「駐在員の皆様は大抵昼のお仕事で法人対法人というお仕事をされていらっしゃる方々で会社の合理的な判断で商談をされておりますが、家主さん、それから後ほど説明いたしますが、不動産業者さんは基本的に個人ですので、極端な話しそのときの感情や気分で物事を判断してくる傾向があります」と山田さん。「加えて、家主さんがそのお持ちの不動産をいつ買ったかによって、支払いの余裕や賃料の設定が相当違うので、同じコンドの全く同じレイアウトのユニットでも賃料が相当異なり、また賃貸市場が短期間に日本より大きく動くため場合によっては1000ドル位ことなることもあります」とやまださん。「なるほど、家主さんが個人ですと相当非論理的なことが起こるわけですね」と佐藤さん。「そうですね、家主さんが個人でほとんど投資家ということもあり、さらに人種も生活レベルもそれぞれが全く違うので、賃料が高いからといってそれなりの家主さんの対応が受けられると思っていると大違い、ということが起こります」と山田さん。「それはどういうことでしょうか?」と佐藤さん。「たとえば、賃料が1万ドル、2万ドルするような家賃だとすると、通常日本の方々は相当な賃料を払う訳ですので、それなりの家主側のきちんとした対応を期待すると思いますが、実際にはそれだけの物件を購入できる大金持ちの方が家主さんということで、その物件の賃貸を実際に行って居るのは働いたことのない大金持ちの奥様が対応するということに大抵なります。そうするとそのような方々は日頃人にサービスなどしたことがない人達ですので、先ほど申し上げました様に、すべてがその日の気分で判断されるなんていうことも結構しょっちゅう起こりますので、賃料が高いから良いサービスが受けられるとは思わない方が無難です」
○家主さんは基本的に全て個人。
○家主さん毎に対応がまちまちで一定していない。
○同じコンドの同じ間取りでも家主さんによっては内容が全く異なる。
○家主さんが個人で性格が異なる上に人種も異なるため日本人の常識は通用しない。
○家賃が高いからといってより良いサービスの提供が家主から受けられるとは考えない方が良い。