シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第105回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○シンガポールには本当の意味での職人が限られている。
○そのため修理がうまくいかない、できないケースが結構多い。
○引き違いとの反りによる問題やバルコニーへ出るスライディングウインドウの鍵など上手く作動しない箇所は早めに家主に連絡をする。
ということでした。
今回は佐藤さんが現在の住宅賃料相場を山田さんに聞きます。
「最近住宅賃料は下がっていると言う話しですが、どのくらい下がっているのでしょうか?」と佐藤さん。「2013年8月のピーク時と比べると12.2%下落していると言われています」と山田さん。「結構下がっていますね、そうすると予算が5000ドルある場合には以前だと5500ドルの住宅が今は借りることができるというになりますね」「おっしゃるとおりです。しかし、全ての住宅が下がっているのではなく、郊外の住宅や築年数の古いもの、オーチャード中心部の超高級物件が大きく値下がりしている一方、中心部にある築浅の物件や日本人に人気のある大型物件などはあまり値下がりしていません」と山田さん。「そうすると全ての家が1割賃料が安くなっているとは言えない、ということですね」と佐藤さん。「賃貸住宅は基本的に個人の投資家が保有して賃貸に出しているので、強気の人やどのくらい自分のコンドが賃貸にでているかよく研究している人などもいて、必ずしも全部のコンドの賃料が値下がりしているとは言えない状況です。景気も少しずつ悪くなるような感じはしていますが、2016年の新築住宅販売戸数は依然として2015年の水準を上回っており、2014年に一旦大きく減少したものの3年連続で増加していることから、不景気になったといえない状況でもあります」と山田さん。「なるほど、なかなか判断が難しい状況ですね」「一般的に住宅賃料動向は住宅販売動向と概ね半年遅れで連動するような動きをします。そのため、2014年に販売が大きく落ち込んだ影響が賃料に影響しましたが、その後販売が持ち直していることから賃料についても必ずしも一方的に下がっているとは言えない状況です」と山田さん。「どうして半年遅れになるのでしょうか?」と佐藤さん。「申し上げました様にほとんどの賃貸住宅が個人家主ですので、それぞれバラバラの動きをするため、必ずしも市況動向に全ての人が従うわけではありません。最初はどの家主さんも自分の不動産だけは下がらないと思っているのですが、2-3ヶ月空室が続くとローンの返済などもありやむを得ず値下げをするという動きをします。そのため景気が完全に悪くなっても、最初の頃はまだ賃料も下がらず、しばらくたってから少しずつ下がりはじめるということになります。そのため現在の相場はちょうど潮目のかわり目にあたるため、交渉が難しい状況にあります」と山田さん。「なにか指標になるような資料はあるのでしょうか?」「シンガポールはいろいろな統計数字が発表されており、数年前からそれぞれのコンドミニアム毎に2-3ヶ月前の月ごとの賃貸取引事例が都市再開発局(Urban Re-development Authority、略してURA)により公開されているため、この指標に従うのが最も適切と言えます。しかしながら、賃貸の場合には売買とことなり家具付き、家具なしなどより多くの個別条件があるため、賃料の幅は大きくなります」
○現在の住宅賃料は統計的に言えば2013年8月のピーク時と比べると12.2%下落。
○全てにこの数字が当てはまるわけではない。
○郊外、古め、超高級物件の賃料は下落、中心部、新しめ、日本人人気物件の賃料は横ばい。
○賃料動向は売買動向と比べて半年くらいタイムラグがある。
○市再開発局(Urban Re-development Authority、略してURA)の情報が有用。