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シンガポールの住宅・不動産事情

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第104回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○シンガポールにプロの職人はほとんどいないため修理作業が全般的(技術・マナーなど)に大変。​
○シンガポールでは住戸内の水漏れは良くある(窓枠、天井など)。

○上層階からの水漏れが原因の場合には相当修理に時間がかかることを覚悟しなくてはならない。

 

ということでした。

引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに質問します。

「一口に修理といってもエアコン、照明、電化製品、水漏れなどいろいろあるものですね。シンガポールは日本と同じかそれ以上に発達している国だという印象がありましたが、こうして見ると結構大変ですね」と佐藤さん。「シンガポールは周辺の東南アジアの国々と比べると随分発達した国だという印象がありますが、これは金融、貿易、IT、観光といった分野に限られ、この分野を中心に短期間に経済が大きく発達してきました。しかしながら、逆に短期間に急激に経済を発達させるためにその他の部分が犠牲になっていると言えます。もっとも遅れている分野の一つがこれまでご説明してきた修理など設備・機械的な修理分野です。また、いわゆる職人に対して社会が敬意を払わないため、この分野が日本と比べて相当遅れていることがスムーズな修理や設備工事が行われない一つの原因と考えられます」と山田さん。「なるほど、そうですね。シンガポールの建物は外観は非常に奇抜で綺麗に見えますが、結構住戸内のいろいろな部分が壊れて直せないケースが多いようですね」と山田さん。「おっしゃる通りです。たとえばクローゼットの建具やドアなどは新築の時には重厚で立派に見えますが、年数が経つにつれて傾いて来たり、ドアとドアがすれ出したりします」「どうしてそのような事が起きるのでしょうか?」と佐藤さん。「日本などでは木製品の場合、時間が経つにつれて木が反ってくるため、反る方向が打ち消されるように木を貼り合わせて何年経ってもまっすぐになるように工夫されて作られています。これなどは家具等の職人さんの基本的な考え方で、日本ではごく当たり前のことです。しかし、残念ながら当地では当初の見てくれを重視して価格を安くするためこのような手間をかけません。そのため引き違い戸が時間の経過とともに反ってきて、ひどい場合には開かなくなることもあります」と山田さん。「そのような場合どうすれば良いのでしょうか」「最悪は引き違い戸全ての交換となりますが、擦れ始めに家主にきちんと状況を報告しておかずに、状態がひどくなってから家主に報告すると、その費用について管理義務違反を理由に全額借りている人に家主が責任転嫁して費用負担を求めることがあります」と山田さん。「それはひどいですね、そうするとちょっとおかしな事があればなるべく早めに家主さんに連絡しておいた方が良いということですね」と佐藤さん。「おっしゃる通りです。おかしな場所については修理をするしないに限らずなるべく早めに家主さんに連絡しておいた方が後々のトラブルを避けるためにも必要です」と山田さん。「そうすると今私の家のバルコニーにでる窓の鍵がかからないのですが、これも当初からなので早めに家主さんに連絡しておいた方がよいですね」と佐藤さん。「バルコニーに出るところの窓など鍵が上手くかからない事は非常当地ではポピュラーな修理箇所で、また上手く直す事ができない修理箇所でもありますので早めに家主さんに伝えておいた方がよいでしょう」

ポイント

○シンガポールには本当の意味での職人が限られている。
○そのため修理がうまくいかない、できないケースが結構多い。
○引き違いとの反りによる問題やバルコニーへ出るスライディングウインドウの鍵など上手く作動しない箇所は早めに家主に連絡をする。