シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第138回 佐藤さんの住宅探し(賃料上昇が続くコンド2)
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
●現在コンドの賃料は上昇が続いており、当分続く可能性が高い
●理由として以下のことがある
(1)以前と比べてシンガポール人の生活が豊かになりシンガポールの人達が自分の住まいとしてコンドを購入して、投資賃貸に回さなくなっていること
(2)公共住宅の入居が遅れておりコンドに一旦入居しなくてはならないこと(特に結婚を控えた若い方々)
(3)不動産価格の上昇のタイミングで自分の不動産を売却してとりあえず次を買わずに賃貸する人が増えたということ
●さらにコロナの終息にともない日本と比べて欧米とシンガポールの行き来がより活発になり、欧米諸国の人達の賃貸需要が増えていること、香港からシンガポールに駐在員が移動してくること
●これらの動きに加えて、不動産価格の上昇、不動産維持費、GSTの上昇なども今後さらに賃料を押し上げる可能性がある、ということでした。
引き続き不動産業者の山田さんが説明します。
山「こちらが最近の賃料の上昇を示す政府発表のグラフです」
佐「こんなに賃料があがっているのですか」
山「もう完全な家主市場になっており、これまでのような不動産取引の慣行が通用しなくなっています」
佐「どう言うことでしょうか」
山「現在は家主さん側に直接お客さまが問合せをしてくるケースが多く、私どものようなテナントさん側の不動産業者からの問合せを受けてくれなくなり、ご転勤をされた場合の中途解約ペナルティをテナントさんが行わなくてはならなくなっています。そのため、お住まいを紹介する場合にテナントさんに仲介手数料を賃料の多寡に関わらずお支払いをお願いすると同時に、ご転勤等による中途解約の場合、早期解約ペナルティ(家主が支払った仲介手数料の契約残存期間分相当)をテナントさんにお願いしないと物件のご紹介ができない状況になっております」
佐「なるほど、賃料が上がっているだけでなく賃貸場件も厳しくなっている、ということですね」
今回のポイント
●昨年の同時期と比べて同じ物件の賃料は約34%くらい、ひどい場合は50%も上昇していることがある
●賃料の額にかかわらず借り手が仲介手数料の負担を行わないとご紹介できる物件がかなり限定される
●借り手がディプロマティッククローズによる早期解約を行った場合、借り手が早期解約ペナルティを確実に支払う必要がある