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シンガポールの住宅・不動産事情

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第99回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○<自分では入居してから触ったこともない場所が壊れている>あるいは<同じ場所が何度も何度も壊れる>という場合でも契約で決められた一定金額までの修理費用は入居者(賃借人)の負担となる。​
○当然自分の過失(注意義務違反を含む)で破損し修理が必要な場合にはその修理費用は全額入居者(賃借人)負担。

○多少壊れていても基本的に不動産価格は市場動向によることから所有者は物件の状態にあまり関心を払わない(物件管理状況にかかわらず高く売れるときには高く売れる)。

○シンガポール不動産取引の基本は現状有姿で売却後の保証は売主も不動産仲介業者も行わない。

ということでした。

引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに修理について尋ねます。

「どのような修理が最も多いのでしょうか?」と佐藤さん。「多い順番から申し上げますと、エアコン、照明器具、各種電化製品、建具関係、水漏れ、その他、といった感じです」と山田さん。「なるほど、確かにエアコンは使用頻度が非常に高いので、当然壊れる頻度も高い、ということですね」と佐藤さん。「確かに使用頻度の問題もありますが、シンガポールのコンドミニアムの建築の歴史はそれほど長くないため、作りそのものが大分いい加減にできている他、古くなった建物は壊して作り直せば良い、というような考え方がまだ主流のためメンテナンスについての考えが十分ではないと言える他、部材や製品が世界中から輸入されており統一的な規格基準が十分でない、ということも言えます」と山田さん。「家賃も非常に高く、不動産の価格も高いのにまだそのような状態なのでしょうか?」と佐藤さん。「残念ながら、インフレ等の進行が急速に進んだため、いろいろな部分、特に表面に現れていない部分で遅れがあると思われます。エアコンについて申し上げれば、エアコンは稼働中空気中の湿気を取り除き、排水しながら冷やすことになるのですが、日本の場合この排水処理が室外機のすぐ脇で、しかも排水管がつまらないようにまっすぐに排水が落ちるように処理されているのが通例ですが、シンガポールでは室内のデザインや見た目にこだわるため、この排水処理の距離が非常に長く、天井裏で処理しております。そのため、このエアコンの排水管がつまりやすく、室内のエアコンの吹き出し口から逆流してしまうこともあります」と山田さん。「そうですか、私も何度かエアコンの吹き出し口から水がもれてきたことがありますが、そのような事情からなのですね。これは事前に防ぐことは可能なのでしょうか?」「この問題は構造上の問題といってもよく、私がいるこの20年以上に全然改善されておらず、常にこのような水漏れがおこったらその排水管をその都度つまらないようにする、という対処療法が取られています。基本的にこのような問題を起こさないように賃貸借契約書ではエアコンの定期点検が貸主もしくは借主の義務として規定されています」と山田さん。

ポイント

○シンガポールの住まいでは修理が日常茶飯事。
○修理が多い事項はエアコン、照明器具、各種電化製品、建具関係、水漏れ。
○エアコンの室内機からの水漏れは最もポピュラーなトラブル​。
○エアコンからの水漏れを防止する為に定期点検が必要​​。