シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第98回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○シンガポールでは不動産仲介手数料の額については法的な規制がない。
○家賃が少額な場合(不動産仲介会社によって額は異なる)には借主が不動産仲介手数料を負担するが、そうでない場合には借主が仲介手数料を負担しないケースが多く見られる。
○賃貸借期間が1年以下など短い場合なども借主が不動産仲介手数料の負担が発生することがある。
○賃貸借契約を更新する場合に家主が不動産仲介手数料を支払わない場合には借主が負担しなくてはならなくなることもある。
ということでした。
今回は入居後の修理について不動産業者の山田さんが佐藤さんに説明します。
「これまでのお話しでは自然に壊れたものでも自分で一定金額まで負担しなくてはならない、ということはわかりましたが、この修理についてもう少し説明してもらえませんでしょうか?」と佐藤さん。「よくあるお話しでは、<自分では入居してから触ったこともない場所が壊れている>あるいは<同じ場所が何度も何度も壊れる>といったような場合についてお客さまから家主さんに事情を説明して修理費用を免除して貰えるようにお願いして欲しい、というようなご要望が良くあります」と山田さん。「そうですね、そのような場合でもやはり修理費用は負担しなくてはならないのでしょうか?」と佐藤さん。「契約書にはそのような場合でも規定する一定金額の修理費用はやはり入居者(賃借人)が負担しなくてはならないように書いてあり、家主さんのほとんどが投資家で不動産が値上がりしたら売ろうとしている人達ですので自分では基本的には費用負担をしたがらない方々がほとんどです」と山田さん。「でも、そんなにしょっちゅう壊れていたり、修理しないでいたりすると不動産の価値が下がるのではないでしょうか?日本ではマンションは管理を買うと言うくらい言われているので修理をしないでいると逆に家主さんにとって損になるのではないでしょうか?」と佐藤さん。「いえいえ、シンガポールでは不動産市況の状況により日本よりも激しく価格がこれまで上下してきたため、多少傷んでいても不動産が上昇していれば高く売ることができますので、ポイントはなるべくお金をかけないで値上がりを待つ、ということが家主さんの基本スタンスです」と山田さん。「でも売った後に日本では売り主さんや不動産仲介業者さんは、その物件に修理が必要な問題が発生した場合保証するような制度があるのではないのですか?もしそうなら将来の面倒を避けるために事前に修理をしておいた方が良いのではないのですか?」と佐藤さん。「シンガポールではそのような売却後に中古住宅を保証するような制度はありません。基本的に買手は現状有姿といってそのままの状態で購入することが原則で、購入後に修理が必要であってもそれは買手が対応することになります」と山田さん。「なるほど、そうであれば家主さんがなるべく修理費用を負担したがらない理由が良くわかります」と佐藤さん。
○<自分では入居してから触ったこともない場所が壊れている>あるいは<同じ場所が何度も何度も壊れる>という場合でも契約で決められた一定金額までの修理費用は入居者(賃借人)の負担となる。
○当然自分の過失(注意義務違反を含む)で破損し修理が必要な場合にはその修理費用は全額入居者(賃借人)負担。
○多少壊れていても基本的に不動産価格は市場動向によることから所有者は物件の状態にあまり関心を払わない(物件管理状況にかかわらず高く売れるときには高く売れる)。
○シンガポール不動産取引の基本は現状有姿で売却後の保証は売主も不動産仲介業者も行わない。