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シンガポールの住宅・不動産事情

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第97回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○シンガポールの家主は基本的に投資家。​
○シンガポールの家主は良いテナントに長く入ってもらうより投資利回り的な判断を優先する。

○購入金額が預金額、家賃が預金利息ということが投資利回り。

○シンガポールの中心部の投資利回りはここ20年約2%前後でほぼ一定に推移している。

○そのため購入金額が下がると賃料も下がる傾向にある。

ということでした。

今回は不動産業者さんへの仲介手数料について山田さんが佐藤さんに説明します。

「これから弊社でも新しい駐在員が来るので、経費について本社から聞かれていますが、山田さんにお支払いする仲介手数料はどうすれば良いのでしょうか?」と佐藤さん。「シンガポールでは日本の宅地建物取引業法のように不動産仲介業者の仲介手数料については売買も賃貸も金額の制限を設けていません。あくまでも当事者間で市場慣行等に基づいて取り決めることになっております」と山田さん。「私の場合には会社が山田さんにお支払いをしたのでしょうか?」と佐藤さん。「佐藤さまの場合にはお家賃が一定金額以上であったため、佐藤さんの会社からはいただいておりません」「私の為にお仕事をしていただいたのに、タダだったのですか?」と佐藤さん。「一定金額以上のお家賃の場合、弊社では家主側不動産業者から家主が支払った金額の半分をいただいております」と山田さん。「私の為にお仕事をしていただいたのに、家主側から手数料をもらうというのはなんだか変な感じがしますね」と佐藤さん。「そうですね、弁護士などはそれぞれの依頼主からフィーをもらって、それぞれの利益代表として交渉をするのですが、不動産業界ではまだ昔の慣行がそのように残っています。そのため、佐藤さまのケースでは私どもは法的には家主側不動産業者のサブエージェントという扱いになりますので、あまりにも理不尽なことを家主側に行うと家主側から損害賠償請求を受ける可能性が法的にはあるということになります」と山田さん。「もしお願いしているお家賃がお話しの一定金額以上でなかった場合にはどうなりますか?」と佐藤さん。「その場合には大変申し訳ありませんが、お客様にお願いしております。これはお家賃の額によってお仕事の内容が変わる訳ではありませんので、お取引の前に事情をご説明してお願いしております。また、お家賃以外でもご契約期間が1年未満などのケースになりますと、上述した家主側の不動産業者さんも十分な手数料を家主さんからもらえなくなりますので、そのような場合にも大変申し訳ありませんがお客様に仲介手数料のお支払いをお願いしております」と山田さん。「なるほど、でもそれぞれの利益代表として交渉をしていただくからには、双方がそれぞれ手数料を支払った上で交渉していただく方がすっきりしますね」と佐藤さん。

ポイント

○シンガポールでは不動産仲介手数料の額については法的な規制がない。
○家賃が少額な場合(不動産仲介会社によって額は異なる)には借主が不動産仲介手数料を負担するが、そうでない場合には借主が仲介手数料を負担しないケースが多く見られる。
○賃貸借期間が1年以下など短い場合なども借主が不動産仲介手数料の負担が発生することがある​。
○賃貸借契約を更新する場合に家主が不動産仲介手数料を支払わない場合には借主が負担しなくてはならなくなることもある​​。