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シンガポールの住宅・不動産事情

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第96回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○現在の賃貸市場は一般的には下がり気味。​
○一部新しめの人気物件の賃料は下がっておらず、場合によっては2-3年前より上がっているものもある。

○家主さんは一般的には自分の不動産は下がっていないと思い込む傾向にある。

○不動産賃貸市場は売買市場に連動しており、価格が下がると賃料も下がるが、タイムラグが概ね6ヶ月くらいある。

ということでした。

引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに質問します。

「不動産賃貸市場が売買市場に連動しているというのはどういうことでしょうか?」と佐藤さん。「シンガポールの家主さんは基本的に投資家で、安く買って高く売る、買ったらなるべく賃料を高く取る、費用をなるべくかけない、という家主さんがほとんどです」と山田さん。「かなりシビアな家主さんが多いということですね」「そうですね、日本ですと人が住まないと傷むので、良い入居者(賃借人)に長く入ってもらって、長期の資産価値が落ちないようにしたい、という長期保有的な考えをする人が多いですが、こちらの家主さんは基本的に転がしです。また、転がして譲渡益(キャピタルゲイン)を取ろうとする反面、買った金額に対して預貯金のようにいくら毎年回収できるか、ということも考えます」と山田さん。「それは聞いたことがあります。いわゆる銀行預金と同じ利回りという考え方ですね」と佐藤さん。「おっしゃるとおりです。この不動産購入価格に対して、毎年いくら位家賃が入るかということ、つまり定期預金と同じように預金が不動産購入価格で家賃が預金と同じ利息ということになります。この利回りがシンガポールでは大体中心部ですと2%前後という状態が1993年頃くらいからずっと続いています」と山田さん。「景気が悪くても、良くても2%ですか?それは投資としてはあまり魅力的ではないですね」と佐藤さん。「そうですね、そのためシンガポールの家主さんは家賃で回収しようするよりなるべく安く買って高く売ろうとする傾向にあります」「その理屈からすると不動産の値段が下がると賃料も下がる、ということになりますね」と佐藤さん。「賃貸借契約が通常2年ですので、一時的に利回りが高くなる(不動産購入価格に対して家賃が高めになる)ということが起こりますが、歴史的に申し上げて利回りがいつも2%位ですから、不動産購入価格がさがると賃料が次第に下がって来ることになります」と山田さん。「なるほど、シンガポールは不動産購入価格は結構上がったり下がったりするのと同じように賃料も上がったり下がったりするもののなのですね」と佐藤さん。「ここ10年はリーマンショックのわずかな期間を除いて不動産購入価格はずっと上がりっぱなしだったので、賃料も同じように上がってきましたが、ここ数年不動産価格が天井を打った状態になり、下がりはじめて来たことによって、現在賃料も調整局面を迎えているといえます」と山田さん。

ポイント

○シンガポールの家主は基本的に投資家。
○シンガポールの家主は良いテナントに長く入ってもらうより投資利回り的な判断を優先する。
○購入金額が預金額、家賃が預金利息ということが投資利回り​。
○シンガポールの中心部の投資利回りはここ20年約2%前後でほぼ一定に推移している。
そのため購入金額が下がると賃料も下がる傾向にある。