シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第92回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○借りて住む場合には自分の家以上に丁寧に綺麗に使う。
○敷金の回収は問題点が少なければその場で現金を払うことにより決着可能なことがある。
○問題点が多い場合、修理費用が高額になる場合には見積が必要。
○その場合には敷金回収のためさらに交渉が必要。
○最終的に家主が一方的に費用を引いて敷金を返却してくることがある。
○決着しない敷金回収は裁判所の調停が必要。
ということでした。
今回は資金回収のための裁判書の手続きを山田さんが佐藤さんに説明します。
「家主さんが敷金を返してくれない、あるいは法外な額を敷金から差し引いてきたような場合にはどのようにすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「その場合は日本で言う<少額訴訟>のような手続きをとることになります」と不動産業者の山田さん。「それはどのような手続きになるのでしょうか」「シンガポールではsmall claims tribunalsと呼ばれ、納得がいかない請求など、その問題となる額により手続き費用がことなります。詳細はwww.statecourts.gov.sg/SmallClaims/Pages/GeneralInformation.aspxで調べることができますが、要するに調停です」と山田さん。「具体的にはどのような手続きになるのでしょうか」と佐藤さん。「まず経緯を裁判書に説明するためのレポートを提出し、通常の敷金返還等の場合には数十ドルを支払い申し立てを行います。この申し立てを受けて裁判書から申立人と相手方に裁判書への召喚状(呼び出し)が通達されます。この通達を受けるとそれで相手方が問題となっている部分について妥協してくることもあり、それなりに効果的です」と山田さん。「相手方がその通達に従って出頭してきた場合にはどのような手続きになるのでしょうか?」と佐藤さん。「その場合、申立人側から一名、相手方から一名が裁判所内にある調停人の部屋に入って事情聴取と調停人からの提案について協議することになります」「調停人はどのような調停をするのでしょうか?」と佐藤さん。「双方の言い分に理がある場合には大抵額の折衷案を示すことになります」「もしいずれか一方が納得しない場合にはどうなりますでしょうか?」と佐藤さん。「その場合には正式な訴訟となり、弁護士費用等相当な費用(数万ドル単位)がかかることになる可能性がありますが、一般的には大抵ここで決着することが多いようです」と不動産業者の山田さん。「なるほど、もし相手方が呼び出しに応じない場合にはどうなりますか?」と佐藤さん。「再度裁判所から呼び出しをかけることになり、裁判所のスタッフが相手方を直接訪問してそのスケジュールを調整することになります。この段階で先方が妥協してくるケースもあります。それでも先方が出頭して来ない場合には、同じように訴訟になりますが、申し立てをした側にかなり有利な訴訟となります」
○敷金返還を巡って相手方とトラブルがある場合には弁護士を使うより少額訴訟の手続きに入った方が効果的。
○少額訴訟費用は対象となる額により異なるが敷金返還請求の場合には数十ドル。
○裁判所には経緯説明書の提出が必要。
○この手続きの途中で相手方が妥協してくることが多いので効果的。