シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第91回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○入居引渡の際の家具、備品のインベントリーリストはそれぞれのアイテムが揃っているだけではなくその状態をなるべく詳細に記録。
○最初の1ヶ月に修理必要箇所、修理は必要ないけれども記録が必要な箇所を家主に連絡、記録。
○家を返却する際に記録がなければ<最初から壊れていた><最初からこうだった>と言うことは費用負担の免責にはならない。
○問題点はなるべく写真に残し、家主側にもその写真を通知連絡する。
ということでした。
今回は不動産業者の山田さんが返却後の敷金回収についての手続きを佐藤さんに説明します。
「退去の時のトラブルを避けるためには自分の家以上に気をつけなければならないことが良くわかりました」と佐藤さん。「良く<自分の家でないから>としてあまり気を遣わない人がいますが、むしろ<自分の家でないから>こそ余計に気を遣わなくてはならないので、基本日頃のお手入れが相当ポイントになります」と不動産業者の山田さん。「そうですね、家を返却した後は皆さんそのまま日本に帰国してしまうケースが多いので、どういう点がトラブルになるのかなかなか残っている人に伝わらないのですね。このようなトラブルが発生するとどういうことになるのでしょうか?」と佐藤さん。「家主は敷金を預かっていますので、入居者の人と補修などの費用を巡って話しが決着しなくても勝手に一方的にその費用を敷金から差し引いて返却してくることもあります」と山田さん。「それはひどいですね、そんなことがしょっちゅう起こるのでしょうか?」「いやいや、通常は修理アイテムが決着したら、その見積をまず入居者に確認して双方納得してから敷金から差し引くなり、その修理費用を支払って全額敷金を回収するのが普通です」と山田さん。「その場で決着することはできないのでしょうか?」と佐藤さん。「皆さん日本にすぐ帰国しなくてはならないので、そのようなご希望がありますが、あまり修理事項が多かったり、かなり大がかりな修理対応が必要な場合にはその場で決着することは結構難しいのが実情です。ただ、あまり修理事項がない場合には少し余計に修理費用を相手に支払うことにより決着することもできます」と山田さん。「その場合にはどのくらいのお金を払えば良いのでしょうか」「そうですね、状況にもよりますが、小修繕条項に記載されている金額が最低で大体150-200ドルくらいから、何カ所も修理が必要な場合には500-600ドル位でしょう。もしこれ以上になるのであれば、やはり修理見積をとってその金額を交渉した方がよろしいかと思います」と山田さん。「そうるすともし修理箇所が多い場合また、敷金回収の金額を確定するために交渉が必要になる、ということでしょうか?」「そうです。金額が高額になる場合には借り手の側からは通常使用によるもので借り手側には責任がない、といくつかの事項を交渉することになりますが、以前お話ししたようない<通常使用>は主観的な判断で絶対的な基準はありませんので、最終的には全体の金額からのネゴによるディスカウント交渉となります」と山田さん。「もしそれで決着しなければどうなるのでしょうか?」「その場合には裁判所による調停手段があります」と山田さん(次回に続く)
○借りて住む場合には自分の家以上に丁寧に綺麗に使う。
○敷金の回収は問題点が少なければその場で現金を払うことにより決着可能なことがある。
○問題点が多い場合、修理費用が高額になる場合には見積が必要。
○その場合には敷金回収のためさらに交渉が必要。
○最終的に家主が一方的に費用を引いて敷金を返却してくることがある。
○決着しない敷金回収は裁判所の調停が必要。