シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第88回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○“普通に使っていた”ということは人により程度判断が大きく異なるため問題になるポイントですので、キズ、しみは極力つけない。
○家の返却の際にいろいろ理不尽なことがあっても怒らず、極力妥協点を見いだすか、どうしても妥協点がない場合には先送りする。
○家の返却の際には何が何でも鍵を相手に返すようにする。
ということでした。
引き続き佐藤さんが山田さんに家を家主さんに返す際の注意点を聞きます。
「その他によくある問題点とか注意点にはどのようなものがありますか」と佐藤さん。「よくある問題点としては全然使用していないのに壊れている、ということについて家主さんともめることがあります」と山田さん。「どういうことでしょうか」「例えば電子レンジはほとんど皆様がつかいますが、ビルトインオーブンがあっても使わない人が結構います」と山田さん。「なるほど、ワンベッドルームの家でオーブンがついていても、単身赴任や独身の人は普通つかわないですよね」と佐藤さん。「そうです。ご家族連れの方でも利用しない奥様も結構います。その場合、退去時にチェックすると全然使っていないですから非常に綺麗です。でも電源を入れて稼働状況の確認をするとブレーカーが落ちて動かないケースがあります。これは長期間使用していないことでオーブン内に湿気がたまり、この湿気のために配線等が損傷していることによります」と山田さん。「その修理費用はどうなるのですか?小修繕条項があると以前ご説明されていたので、150ドルや200ドルまでは入居者負担で、超えた時は超えた分を家主さんの負担ということでしょうか?」と佐藤さん。「これは小修繕条項に該当しませんので、全額修理費用は入居者、テナント負担となります」と山田さん。「なぜでしょう?入居者は全然使っていないので過失はないのではないでしょうか?」と佐藤さん。「<使っていない>ということ自体が過失になります。つまり、家に備え付けられているものについては入居している人がその家を良好な状態に保つ義務があります。明らかに入居者の負担にならないと考えられるものは上下階の水漏れや外壁からの水漏れ、使用ミス無く通常使用している備品の修理、たとえばテレビや冷蔵庫の修理などはご指摘の小修繕条項の範囲内で一定金額の負担で済みますが、<使っていない>ということはお住まいの管理義務違反に該当しますので、注意が必要です」と山田さん。「なるほど、そうするとまんべんなく家にあるものは使わなくてはならない、ということですね」と佐藤さん。「そのとおりです。他に良く問題になる備品としては食器洗浄機、ビルトインコーヒーメーカーなどがあります。この他にインベントリーリストに掃除機、ファックスなどの弱電製品がある場合には壊れやすいのでインベントリーリストから外すか責任を負わない旨予め記載した方が良いでしょう」と佐藤さん。
○家に備え付けられている電化製品(エアコン含む)全てまんべんなく使用する。
○使用しなくても定期的に電源を入れて一定期間稼働させて確認する。
○オーブンの場合には1-2ヶ月に一度200度以上にして15分位稼働させる。
○<使っていない>という状況は過失と判断されその修理費用は全額入居者、テナント負担となる。
○使用ミスなく使用して壊れた場合でも小修繕条項で一定金額まで入居者/テナントの負担となる。
○壊れやすい電化製品としてはオーブン、食器洗浄機、ビルトインコーヒーメーカー、掃除機等がある。