シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第87回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○住宅の引き継ぎに伴う最終的な修理費用の負担ではっきりしない部分は会社負担とせざるを得ないケースがある。
○そのため住宅の引き継ぎに伴う立会を行う場合にはテナントさんの会社の総務さんが立ち会う必要がある。
○引き継いだ人の最初の1ヶ月の修理費用負担を誰が行うのか明確にする必要がある。
ということでした。
引き続き佐藤さんが山田さんに家を家主さんに返す際の注意点を聞きます。
「前の人がつかっていた家をそのまま住んでから家主さんに返すのは結構問題がありそうですね」と佐藤さん。「そうですね、ご説明したように前の人と家の引き継ぎを行っても、同じ会社の社員同士ですので、どうしても引き継ぎが甘くなります」と不動産業者の山田さん。「家主さんのチェックは通常どのくらい厳しいものでしょうか?」と佐藤さん。「もうこれは、私ども専門業者でも全く予想がつきません。よく“普通に使っていたキズ、しみ”などは自然減耗分として家賃に含まれる、といいますが、この部分が最も問題になるところです」と山田さん。「どういうことでしょうか?」「つまり“普通に”という定義が全く人によって異なるからで、ものすごく神経質な人と、ものすごくずぼらな人の“普通に使っていた”という基準は天と地ほども違います。ましてや片方の家主さんはなるべくお金を取ろうとしていて、もう一方のテナントさんはなるべくお金を払わないようにしようとしている訳ですから、妥協点を見つけるのが相当難しいと言わざるを得ません」と山田さん。「なるほど、それはそうですね。そのような場合にはどうするのでしょうか?」と佐藤さん。「とにかく決着して、お互い不満があるかもしれませんが、半分半分などなんとかお互い譲れる金額を見つけるしかありません」と山田さん。「もし、妥協しなかったらどうなるのでしょうか?」と佐藤さん。「最悪です。もし家主さんないしは家主さんの業者さんが怒って帰ってしまったら、家主さん側が家の原状復帰についてテナントさんが十分行わなかったとして、鍵の受取を拒否したことになり、法的にテナントさんが引き続き賃料を支払わなくてはならないことになります」と不動産業者の山田さん。「それは大変ですね、そうならないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか?」と佐藤さん。「基本的に家主側の不動産業者や家主さんと家の引渡の際に、結構いろいろ理不尽なことを言われてもけんかをせず、決着がその場でつかない場合には先送りし、とにかく鍵を全て相手に返却することがポイントです。相手が鍵を受け取らなかった場合には先ほど申し上げたように原状復帰を家主さんが拒否したことになり、家賃支払い義務が理論上発生します」と山田さん。
○“普通に使っていた”ということは人により程度判断が大きく異なるため問題になるポイントですので、キズ、しみは極力つけない。
○家の返却の際にいろいろ理不尽なことがあっても怒らず、極力妥協点を見いだすか、どうしても妥協点がない場合には先送りする。
○家の返却の際には何が何でも鍵を相手に返すようにする。