シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第86回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○入居者の入替をする場合にはその家を家主に返却する際の原状復帰、修理費用の負担を誰が行うのかを明確にする必要がある。
○この負担区分を明確にする立会には通常家主側は立ち会ってくれない。
ということでした。
引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに質問をします。
「そうすると結局私ども内部で物件の状態を確認することになりますね」と佐藤さん。「できる限り問題点を現在の入居者の人とこれから住む方の両方で物件を確認してその状態をお互い確認した、という署名をすることが一番良いのですが、どうしても家主の判断とお住まいになる方同士の判断には食い違いが出てきます。退去される人はこのくらい普通と言っても、住まいを譲り受ける人は同僚でもありますからなかなか主張しにくい雰囲気があります」と山田さん。「署名確認をしても問題が残る、ということですね」と佐藤さん。「そうです。実際将来引き継いだ人が住宅を家主さんに返す際に問題になるのは、必ず<自分が住み始めた時からこうだった>という主張です。こうなってくるともうお住みになっている人に責任を取らせることはほとんど不可能です」と山田さん。「なるほど、そうするとそのようような場合にはもう会社のほうで何とかするしか方法がないということになりますね」と佐藤さん。「そのためにも、このお住まいの引き継ぎを内部で行う場合には会社契約であれば会社の総務さんの立会がどうしても必要になります」と山田さん。「このような引き継ぎを行う際の費用負担はどのようにすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「明らかに前の方がキズ等をつけたりした補修費用の見積をとり、その方に費用負担をしてもらう事になりますが、それ以外にも費用負担の問題があります」と山田さん。「どういうことでしょう?」「もし、次の方がこのような引き継ぎを行わずに新規で住宅をお借りになられた場合には最初の1ヶ月は家主側に補修費用の全額を負担してもらい、最初の1ヶ月が経過してからはその修理が自然発生であっても一定金額を入居者が負担しなくてはならない、という条項があるのを覚えていらっしゃいますか?」と山田さん。「覚えています。そうすると前の方が次の方が住み始めてから最初の1ヶ月はその修理費用の全額を負担しなくてはならなくなる、ということですね」と佐藤さん。「前の入居者の方が負担しなくてはならなくなるか、あるいはそのようなアレンジをされたテナントである会社さんが負担しなくてはならないか、いずれかということになります。ただ、当然決まった金額(150ドルもしくは200ドルが多い)を超える部分については家主負担ということになりますが」と山田さん。「なるほど、前の人が住んでいる住宅を引き継ぐのはいろいろ大変ですね」と佐藤さん。「ただ、会社さんとしても転勤条項で決められている期間までは賃料を払わないといけないのでやむを得ないと言えます」
○住宅の引き継ぎに伴う最終的な修理費用の負担ではっきりしない部分は会社負担とせざるを得ないケースがある。
○そのため住宅の引き継ぎに伴う立会を行う場合にはテナントさんの会社の総務さんが立ち会う必要がある。
○引き継いだ人の最初の1ヶ月の修理費用負担を誰が行うのか明確にする必要がある。