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第84回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○退去時に一切使用しなかった電化製品が故障していた場合、入居時にその旨明確に記録していないと修理費用の請求を退去時に受ける。​
○転勤に伴う中途解約は通知を出した日から2ヶ月後まで賃料支払義務がある。​
○契約更新をしない場合でもその旨家主には契約期限切れの1.5ヶ月前には書面で通知を出した方が良い(通知義務がない場合でも)。

○退去が決まった場合、家主さんの次のテナント候補への見学はなるべく協力する。

○家主さんはほとんどが個人で家主さんの業者も個人なので感情的にもつれないように日頃から良好な関係を維持するように努める。

ということでした。

引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに質問をします。

「転勤の場合、会社の命令ですぐに引越をしなくてはいけないので、通知を出してから2ヶ月も住まないのですが、それでも賃料は支払わなくてはならないのですか」と山田さん。「残念ながら契約で決まっていることですし、家主さんはほとんどが投資家ですので収入についてはシビアなので、まけてくれることはほとんどありません」と不動産業者の佐藤さん。「そうですか、そうすると後任の人にしばらく住んでもらうことも可能なのでしょうか?」「基本的には賃貸借契約が会社契約になっている場合には入居者変更は可能なのが通例です。その場合家主さんには入居者変更の通知を出さなくてはなりません」と山田さん。「家主さんに断られることがあるのですか?」「特別な事情がない限り断られることはありませんが、逆に入居者の変更通知だけを出して、転勤に伴う中途解約のスケジュールを連絡しないでいると、場合によると中途解約ができなくなり替わりの人が契約終了まで住まなくてはならなくなることもあり得ます」と山田さん。「それはどういうことでしょう」と佐藤さん。「転勤に伴う中途解約がすぐにできる場合ははっきりと通知日から2ヶ月後までしか賃料を支払わないと明示し、その期限まで替わりの人の名前を通知できますが、この転勤に伴う解約条項がすぐに使えない場合に入居者の変更だけを家主さんに通知すると問題が出る可能性があります」と不動産業者の山田さん。「なるほど、家主さんが新しく入った人が契約最後まで住むのだと家主さんが思い込んでしまうのですね」と佐藤さん。「そのとおりです」と山田さん。「どうすれば、そのような問題を避けることができるのでしょうか?ひょっとすると替わりの人が気に入って契約満了まで住み続けることもありますよね」と佐藤さん。「そのような場合には<ディプロマティッククローズの権利行使を留保する><reserve the right to exercise the Diplomatic Clause>という表現を必ず入居者変更の通知のレターに記載することが必要になります」

ポイント

○転勤に伴う中途解約には2ヶ月前にレジスターメールによる家主への通知が必要。
○たとえ2ヶ月住む必要がなくても基本的にその通知から2ヶ月分の賃料支払義務は発生する。
○会社契約の場合入居者を変更する場合も家主へのレジスターメールでの通知が必要​。
○すぐに転勤に伴う中途解約条項が利用できずに入居者変更を行う場合には、必ず<ディプロマティッククローズの権利行使を留保する><reserve the right to exercise the Diplomatic Clause>という表現を必ず入居者変更の通知のレターに記載​。