シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第79回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○住宅予算はほとんどの日系企業は家具付きを想定している。
○一方で家具を巡ってのトラブルが退去時に起こりやすいので家主さんとのトラブルを少なくするためには家具なしの方が良いこともある。
○家具が必要な場合リース家具を家主さんにお願いする方法もある。
○リース家具の場合よほどのことがなければ損害賠償を受けることはない、ということでした。
引き続き不動産業者の山田さんが佐藤さんに家具について説明します。
「家主さんはそのようなリース家具を込みにした住宅の賃貸借契約を行ってくれるものなのでしょうか」と佐藤さん。「そうですね、時々面倒くさいのと家具を使うのが自分ではないので、契約を結びたくないという家主さんもいます」と山田さん。「その場合どうすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「面倒くさいからヤダ、と言われてしまえば家賃を上げるなど家主さんに有利になるような条件を提示して説得する方法があります」と山田さん。「使うのがテナントなので責任をとれないと言われてしまった場合はどうすればよいのでしょうか?」と佐藤さん。「その場合には三者契約という方法があります。これは家主さんとリース家具屋さんのリース家具契約に入居者の方が使用者として責任を取るということでこのリース家具契約に署名をすることで、家主さんを説得することができます。この場合の契約は住宅の契約が会社になっていても、リース家具契約に署名するのはご入居されるご本人ということになります」と山田さん。「なるほど、入居する人が家具についての責任を取るということですね。中にはどうしてもリース家具契約をしたくない家主さんという人もいるのでしょうか?」と佐藤さん。「実際には結構いらっしゃいます。これは賃料をまるまる自分のものにして、家具は適当なものを買って次のテナントにも使い回したい、というような考えを持っている家主さんの場合です」と山田さん。「なるほど、結構シブイ家主さんのケースですね」と佐藤さん。「このような家主さんの場合、必要な家具を買ってあげるからと言われますが、家主さんが選ぶ家具ですので皆様の趣味などと結構大きく違うことがよく起こり、家主さんが買った後にもめることがあります」と山田さん。「なるほど、その場合に写真を買う前に見せてもらって買ってもらう、という方法ではどうでしょう?」と佐藤さん。「それは最悪です。家主さんが選んできた家具の写真を見せるたびにテナントさんの好みが合わず、調整がつかないまま住宅の引渡予定日になり家具がそろわない、ということになる可能性があり収拾がつかなくなります」と山田さん。「どうすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「このような場合には一定の家具購入予算を家主さんからもらってご自身の趣味に合うような家具の購入をすることを条件にする方法があります」と山田さん。「そうできれば安心ですね」「ただ、この場合何でも買って良いかと言われるとそうではなく、与えられた予算で何を買うかをはっきりさせておかないと購入してから家主さんともめることになります」と山田さん。「どういうことでしょう?」「つまり、家主さんはたとえば5000ドルで2ベッドルームの家の家具の全てを揃えるつもりが、テナントさんが高級ソファとダイニングセットしか購入しなかった場合、家主さんはテレビ、ベッドなど他の家具も取りそろえるつもりだった場合など購入後にモメることになります」と山田さん。「それはそうですね、そうすると購入前にレターオブインテントの中で何を購入するかをしっかり決めておく必要があるということですね」と佐藤さん。
○ときどきリース家具を認めてくれない家主さんがいる。
○リース家具の使用者責任が問題になるときには入居者、リース会社、家主さんの三者契約を締結することもある。
○どうしても家主さんがリース家具を認めてくれない場合には予算をもらってテナントさんが購入することも可能。
○その場合、購入する家具のアイテムを事前に決めておくことが必要
○写真を使ってそれぞれが納得するような家具選びは絶対にしてはならない。