シンガポールの住宅・不動産事情
PRO
プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第75回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○現在の小修繕条項は15年位前から急速に広がった条項。
○自然に壊れたものでも一定額(150ドルが多い)まではテナント負担。
○家主さんは物件の状態にあまり関心を払わない転売目的の家主さんがほとんど。
○家主さんが修理に関心を払わない理由は物件の状態や管理の善し悪しより市況動向により不動産価格が上下しているから、ということでした。
今回も引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに小修繕条項についてお話しをききます。
「なるほど、そうすると家主さんは日本のように管理や修理状況が悪いと不動産価格が下がる、とは考えないためなおのこと物件修理については無関心になるのですね」と佐藤さん。「残念ながらシンガポールでは長期保有を前提に不動産を保有している人が少ないため、物件を良い状態で長く保有したい、あるいは良い管理状態で保有したい、と考える人が少ないようです。そのため、修理費用をなるべく負担せずにテナントに負担させようとする人が多いのが現実です」と佐藤さん。「それで理由がわかりました。私の家主さんなどは洗濯機やエアコンがしょっちゅう壊れるのに、なかなか交換してくれずいつも修理をこちらに回してくるので困っています」「そうですね、ただ修理費用も高額になり、家主さんの負担が増えてくると逆に勝手に修理をすると怒られます」と山田さん。「どうしてですか?こちらが修理をアレンジしてやってあげているのに、どうして怒られなくてはならないのですか?」と佐藤さん。「それは自分の負担が多くなるのでテナントの修理業者の見積がおかしい、あるいは負担が多くなるのであれば買い換えの選択もあるのに勝手に修理をした、と解釈されるからです」と山田さん。「うーんそれはかなり納得がいかないですね」「たしかにテナントの側からすると、修理の段取りを押しつけられて不自由な思いをした上に怒られてはたまりません。そのため、家主の負担が多くなるような場合には家主の了解をなるべく早く取り付けるなり、事前に修理費用が高額になりそうな連絡をしておいた方が無難です」「なるほど、理屈はわかりますが、どうもすっきりしないですね」と佐藤さん。「前回自然に壊れたものでも修理費用がこのようにテナント負担になる他、このテナント負担の修理費用は一箇所あたり、一つの修理について、ということです」「それはどのようなことですか」と佐藤さん。「たとえば、電球が6カ所か切れて居た場合、全部で240ドルかかったとしても、一箇所当たりは40ドルですので、240ドル全額がテナント負担になります。また、照明配線の修理が100ドルで洗濯機の修理が100ドルの合計が200ドルの場合も全額200ドルがテナント負担になるということです」と山田さん。「そうすると、基本的にやはりそもそも修理が多そうな古い物件は最初から避けておいた方が無難ということですね」と佐藤さん。「そうですね、でも皆様ご予算の制約、立地条件のご希望等がありますので、なかなかうまく行かないのが現実です」と山田さん。
○高額修理についてはできれば事前に家主の了解を取り付けておいた方が無難。
○高額修理の場合家主が壊れたものを修理をせずに交換してくれることもある。
○テナントの修理費用の負担は一箇所、一つの修理について、ということで計算される。
○そのため合計が規定金額以上でも全額テナント負担ということもある。