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シンガポールの住宅・不動産事情

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第64回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○ シンガポールではテナント付き売買は当たり前。
○​ ​賃貸借契約書の購入希望者についての対応が記載されている条項の前後の条文に注意する。​
○​ ​売買に伴う賃料の支払い先変更は必ず弁護士からのレターに従う。​
○​ ​前の家主さんと金銭等の懸案事項がある場合には売買が終了する前に解決しておく、ということでした。

○​ ​今回は転勤に伴う入居者変更に  ついての注意点を不動産業者の山田さんがお客様である佐藤さんのお話をします。

 

「最近うちの会社でも結構本帰国になる人が多いですが、こう家賃が上がっていると新たに来る人の家探しが結構大変で、そのまま前任者の住宅を引き継ぐケースが多いようですが、その場合の注意点にはどのようなことがあるのでしょうか」と佐藤さん。「お話のようにご前任の方の住宅を引き継ぐ場合に注意しないといけないことは、将来の敷金からの差し引きについてです」と不動産業者の山田さん。「と言いますと、どう言うことでしょう」と佐藤さん。「将来、契約終了の時に、家主は住宅の状態を点検して破損や汚れがあると、その補修費用をテナントに求めてきます。もし、テナントが会社でその差し引きを全額補填してくれるのであれば問題はでません。しかし、もしその差し引きを入居者である社員の方が負担しなくてはならないと問題が出ます」と山田さん。「そうですね、前任の方がやったのか、新しく入った人がやったのかわからないですからね」と佐藤さん。「理想的には家主、前任の方、その住宅を引き継がれる方の三者で立ち会いをして、引き継ぐ時にその負担区分を明確にしておくことが望まれますが、ほとんどの家主さんはそこまで面倒を見てくれません。これはテナントはあくまでも会社であって、入居者の方ではないので、家主側からすると純粋にテナント内部の問題だからと言うのがその理由です。そのため、この住宅の引き継ぎはなるべく、前入居者と新しい入居者の双方立ち会いのもとで、なるべく詳細に行うことが望まれます」と山田さん。「でも、時々新しい入居者の入居のタイミングと前の入居者の帰国のタイミングが合わないこともありますが、その場合はどうすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「その場合には、会社の総務の方が立ち会って詳細な記録を取られることをお勧めします。そうしないと、後の入居者の方の費用負担が多くなってしますのと、あくまでも会社で入居者の変更を決めたのですから、後の入居者の方につけを回すのはちょっと酷と言えるでしょう」と山田さん。「その場合には、山田さんのような不動産業者さんに立ち会ってもらえるのでしょうか」と佐藤さん。「うちのような日系不動産業者であれば、立ち会いますが、ローカルの業者さんの場合はそれぞれの業者さんがどこまでお世話をされるかによってまちまちです」と山田さん。このような場合の、家主さんへの通知はどうすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「家主への通知は基本的に書面で、しかもレジスターメール(書留)で行うのが通常です。このような場合には入居者変更はもちろんのこと、ディプロマティッククローズの扱いについて注意する必要があります」と山田さん

 

ポイント

○契約終了前に入居者が変わる場合には住宅の状態について前入居者と後入居者の間で
インベントリーリストに基づいて記録をしっかりとっておく。 
○ 会社で敷金からの差し引きを負担してくれる場合にはそこまでする必要はない。
○ 入居者変更の家主への通知は書面でレジスターメールにて行う。