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シンガポールの住宅・不動産事情

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第62回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

住宅の引渡を受けたら、インベントリーリストを再度自分で確認し、さらに問題点がないかどうか確認する。​

物件引渡後最初の1ヶ月が免責とされているケースが多いので、この1ヶ月に住宅の問題点、修理が必要な箇所、シミ、傷などを明記し家主側に通知を行うとともに、この記録を退去まで大切に保存する。​​

この1ヶ月が経過してしますと、基本的に自分がやったことではないものまでテナントの負担となることがあることに注意する、ということでした。引き続きお客さまである佐藤さんが不動産業者の山田さんにたずねます。

 

「最近、うちもそうですが、家主が住んでいる家を売りたいから見せて欲しいと言うようなお願いをよくされるのですが、これはこっちでは当たり前なのでしょうか」と佐藤さん。「これまでお話しましたように、現在シンガポールの不動産はとんでもない勢いで値段が上昇しています。賃料のみならず、売買金額も景気の悪い時に比べて倍ぐらいになっています。そのため、今が売るための好機として、ほとんどの家主さんが売却を考えています」と山田さん。「日本では、テナントがついている不動産は売りにくいといわれているようですが、シンガポールではそういうことはないのですか」と佐藤さん。「日本の場合は最近でこそ定期借家という仕組みができましたが、依然としてこれまでの借地借家法の仕組み(テナント優先)で家を貸している人が多くいます。シンガポールではこのような法律はなく、契約が切れて新しい家賃が合意できなければ、家主はテナントを追い出すことができ、また裁判になってもまず家主側が勝ちます。そのため、テナント付きでも買う人はあまり心配しないで購入します」と山田さん。「なるほど、でも毎週のようにそんな見学者がくるのもうっとおしいですね」と佐藤さん。「残念ながら、ほとんどの賃貸借契約書には家主がその物件を売りたい場合には、テナントは事前の約束を持って、常識の範囲内の時間にて自分が住んでいる物件を見せなくてはならないと規定されています。ですので、約束なしに突然見学者が来た場合には断れますし、深夜や早朝など不都合な時間であればこれも断ることができます。でも完全にそのような見学者を拒むことはできません。また、いつもいつも断ってばかり入ると、家主との関係が悪化し、なにか家主にして欲しいことが生じた時に、スムーズに処理が進まない原因となることもあります」と山田さん。「そうですか、持ちつ持たれつということでしょうけれども、あまりしょっちゅう来られても困るのですが、何か良い方法はないものでしょうか」と佐藤さん。「そうですね、一番はっきりしているのは週の内特定の曜日と特定の時間をセットしてその時だけに限定してもらうのが一番無難でしょう。また、いっぺんに住宅内に入ってくる人の数を制限し、4人までとするようなことも方法として考えられます。ポイントは全く断ることはできないということです」と山田さん。

 

ポイント

入居期間中であっても家主は自由にその物件を売ることができる
○ 家主が購入希望者に家を見せたいと言ってきた場合には完全に断ることはできない。
ただし、事前の約束がなかったり、非常識な時間には見せることを断ることができる
○総合的に考えるとむやみに断り続けると家主との関係が険悪なものとなりかねない。