シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第56回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○これまであまり人の異動のなかった10-11月でも依然として新規に住宅を探している人が結構いる。
○景気は減速しているものの、賃貸住宅賃料は依然強気で潮目が変わるのはもう少し先。
○物件を押さえる為には口頭では無理、書面による確認とともに予約金の支払いの両方ができて、はじめて物件の確保ができる。
○家主は必ずしも1社だけを家主側不動産業者として使っている訳ではなく、複数利用している可能性があるので、物件を決めた後も手続きをなるべく早く行う。
今回は佐藤さんが不動産業者の山田さんにサービスアパートについて聞きます。
「今度私の同僚でシンガポールに赴任する人間がいるんですが、家族が来るまで2-3ケ月以上あるのでホテルではなくサービスアパートにしようと思うのですが、どうでしょう」と佐藤さん。「サービスアパートは大変ですよ」と不動産業者の山田さん。「どう大変なんでしょう」と佐藤さん。「まず、賃料がものすごく上昇しており、ここ1年では月額1000ドル位上がっているところもあります。これは当然借りたいという人が多いからこうなっている訳で、借りる側もホテルとの比較になっています。例えば、一泊200ドルのホテルですと1ケ月いると6000ドルになる訳で、この意味からすると1ベッドもしくはスタジオタイプは6000ドルで貸せるはずです。現在ホテルはほとんど満杯で、宿泊料も上昇しており、何かイベントがあると通常料金の倍になることもあります。このことを考えるとサービスアパートの料金がこの位になってもおかしくないということです。また、一方で不動産価格が上昇しその価格に見合った賃料を取る新築のコンドミニアムが一般賃貸住宅の賃料を押し上げて、この賃料上昇が同じような中心地にあるサービスアパートの賃料をさらに押し上げるという影響もあります」と山田さん。「それはすごいですね、今はそんなになっているのですか」と佐藤さん。「それだけではありません。これだけサービスアパートの賃料が上昇するのは需要があるからで、ホテルと同様どこのサービスアパートも満杯状態です。そのため、こちらに来てから短期滞在用のアパートを探そうと思ってもまずすぐに入れるところはありません」と山田さん。「どうすれば良いのでしょう」と佐藤さん。「ホテルの予約と同様に最低必要とされるタイミングの1ケ月以上前に予約を入れておく必要があります」と山田さん。「そんなに前に手当しないといけないのですか。そうすると、もう見て選ぶということはかなり難しそうですね」と佐藤さん。「そうですね、実際にいらっしゃるのが2-3ケ月先であればサンプルのユニットを見て決めることはできますが、実際のユニットを見てから決めるのは現在の状況ではほとんど不可能です。さらに、あまり規模の大きくないサービスアパートの場合、そのくらい前に予約を入れておいても、現在居住するテナントさんが延長してうまくタイミングが合わなくなることもあります。そのため、入居できるタイミングがずれても大丈夫な用意をしておく必要もあります」と山田さん。
○サービスアパートの賃料は一般コンドミニアムより上昇している。
○物件によってはリーマンショック時の1.5倍近くまで上昇している。
○サービスアパートにはすぐに入居できる物件を探すことは難しく、1ケ月以上前に予約をした方が良い。