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第55回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○現在の賃料はピークにあるものの、景気がさほど減速していないため、まだ外国人流入があり賃料は下落していない。

○契約更新の時にほとんどのケースで賃料の値上げを要求される傾向にある。

○契約期間中に住宅が転売され契約更新できないケースも増えている。

 

「私が住宅を探した1年前と比べて大分状況が違っているようですんね」と佐藤さん。「そうですね、欧米、日本の経済が悪く、東南アジア経済だけが好調で、かなりの数の外国人の駐在員が新たにシンガポールに流入してきています。そのため、不動産価格、賃料が上昇しているだけでなく、決まり方のスピードが9-10月でも早くなってきています」と山田さん。「私が家を選ぶ時には2週間位の週末を使って見せてもらいましたが、そのころとは大分状況が違うということでしょうか」と佐藤さん。「そうですね。佐藤さんの時も他の日系企業の駐在員の方々と同じように、転勤のピークの時にいらっしゃいましたので、大分早くお決め頂いた方だと思います」と山田さん。「でも、逆に言えばまた新しい物件もでてくるということではないのですか」と佐藤さん。「この10-12月は基本的にあまり駐在員の移動がないときですので、次から次へと新しい物件が出てくる訳ではありませんが、これまでのバブルの販売物件が竣工してきますので、それを狙っていくことはできると思います」と山田さん。「ただ、一部報道によると景気は減速するとありますが、それでも物件がどんどん取られてしまうのでしょうか」と佐藤さん。「全体の傾向としては間違いなく景気は減速すると思われますが、まだ賃貸住宅市場にはその影響がでておらず、潮目のかわり目はもう少し先になると思われますので、良い物件があったらなるべく早くお決めになられたほうがよいでしょう」と山田さん。「そうでね、前に山田さんからお金を払わずに物件を保留することは難しいとお話がありましたね」と佐藤さん。「それだけでなく、家主さんは賃貸に出すのに1社だけを使っているわけではなく、場合によっては2社も3社も使っていることがあり、私どもが交渉している窓口になっている家主さんの業者さんだけがその物件を扱っているわけではないと言うこともあります」と山田さん。「そうすると、即断即決だけではなく、ちょっと不満が残るかもしれないけれども、第二候補、第三候補まで決めて物件を選ぶことも必要だと言うことでしょうか」と佐藤さん。「そうですね、その上でさらに物件を押さえる書面手続きと予約金の用意をできるだけ早くするということが、必要であると言えそうです」と佐藤さん。

ポイント

○これまであまり人の異動のなかった10-11月でも依然として新規に住宅を探している人が結構いる。
○景気は減速しているものの、賃貸住宅賃料は依然強気で潮目が変わるのはもう少し先。

物件を押さえる為には口頭では無理、書面による確認とともに予約金の支払いの両方ができて、はじめて物件の確保ができる
○家主は必ずしも1社だけを家主側不動産業者として使っている訳ではなく、複数利用している可能性があるので、物件を決めた後も手続きをなるべく早く行う。