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シンガポールの住宅・不動産事情

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第54回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○住宅を家主さんに引き渡す際にはなるべく家主さん本人が来てもらえるように確認する。

○最終の状態確認は全て書面に基づいて行われるので、住宅についての過去の記録は全て保存し、引越荷物の中にいれないようにする。

○住み始めた最初の状況の確認を必ず書面で行っておく。

 

「ところで、私の知り合いでも更新のときにうまくいかなくて、引越せざるを得ない人が増えているようですけれど、どうなんでしょう」と佐藤さん。「現在住宅に限らず不動産市場全体が活況を呈していることと、シンガポール経済のみならず東南アジア域内経済全体が好況であることもあり、シンガポールの外国人の数がかなり増えています」と山田さん。「そうですね、最近車の数も増えてきて、町を歩いていても白人が前よりも目立つ感じですね」と佐藤さん。「そのため、新築のコンドも増えてきているのですが、1万ドルを超えるような物件の賃貸は結構苦戦しているようですが、それ以下の物件については借り手がついている状況です。そのため家主さんが契約の更新時に値上げを要求するようになってきています」と山田さん。「私が借りるときにはいろいろ山田さんにリクエストをお願いして、家賃も結構押さえてもらいましたが、今はどうなんでしょう」と佐藤さん。「そうですね、二年前から現在にいたるまで、ヨーロッパの通貨危機にかかわらず賃料は上昇しています。今ではとにかくこれまでの賃料を維持できたらラッキーくらいの感じでないと、なかなか更新できないのが現状で、前の賃料が相場より安めの場合には何もリクエストがない場合でも家賃の値上げを要求されるのが現状です」と山田さん。「家賃の件だけでなく、新しい家主さんから退去を迫られる人もいるようですが、どうなんでしょう」と佐藤さん。「最近の報道にあるようにシンガポールの一人当たりのGSPが日本を超え、自分の住宅として購入する人も増えてきており、この場合には家賃云々ではなく自分が使うためにテナントさんに退去を迫るケースも結構あります」と山田さん。「でも契約書にはテナントが更新することができると書いてありますよね」と佐藤さん。「おっしゃるとおりです。確かにテナントが更新できるとの条項が契約書には記載されているケースが多くありますが、あくまでも新賃料について双方同意できる場合に限られているため、更新を保証したものではありません。そのため、家主側に更新の意思がなければ、かなり高めの賃料を提示することによって事実上更新できなくしてしまうことも可能です」と山田さん。

ポイント

○現在の賃料はピークにあるものの、景気がさほど減速していないため、まだ外国人流入があり賃料は下落していない。
○契約更新の時にほとんどのケースで賃料の値上げを要求される傾向にある。
○契約期間中に住宅が転売され契約更新できないケースも増えている。