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第53回 佐藤さんの住宅探し(物件返却時の注意点)

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○電話、電気、ガス、水道、ケーブルテレビの解約は原則ご自身で行うようにする-最近はインターネットでも解約手続きができる。

○電話の解約は家の返却前に行っても構わないが、電気、ガス、水道の解約は家を返す日の翌日に切れるようにするということでした。

引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに聞きます。

「当日にはどのような手続きをとるのでしょうか」と佐藤さん。「まず物件の引渡をするのにあたって、家主さん本人が来てくれるようにお願いします。ほとんどのケースで家主さんは不動産業者さんを使っていますので、その不動産業者さんだけが来ても住宅の最終確認にはならないからです」と山田さん。「でも私の家主さんはしょっちゅう海外にいっていて、なかなかシンガポールにいないんですが、大丈夫でしょうか」と佐藤さん。「家主さんの不動産業者さんだけが来て、その状態について判断して鍵を受け取ってから、家主さん本人が後日じっくり再度住宅をチェックして不動産業者さんが問題ないとしたことまで、文句を言ってくることがあります。その場合、問題ないとして鍵を家主さんの不動産業者さんに渡して、書面で確認をとったとしても、家主さん本人は自分が署名したのではないとして敷金からの差し引きを求めてくることがあります」と山田さん。「それでは鍵を渡して住宅の状態を確認した意味がないんじゃないですか」と佐藤さん。「残念ながらそのようなことが実際には時々起こります。そのため、私共ではなるべく家主さん本人が住宅の引渡に立合うことを相手に求めるのですが、家主さんが自分が使っている不動産業者を行かせるからといって、こちらの求めに応じないケースがあるので困ってしまいます」と山田さん。「そうですか、そうならないことを祈るしか今はないですね。ところで、その住宅のチェックとはどうするのですか」と佐藤さん。「基本的には契約の最初に合意したインベントリーリストに基づいて、すべてリストに書かれているものがちゃんとあるかどうかの確認をするとともに、その家具や什器備品、電化製品がちゃんと動くかどうかの確認を一つずつしていきます」と山田さん。「なるほど、そこでこれまで教えていただいた注意点が生きてくるのですね」と佐藤さん。「そうです。変更や問題があればそれを書いた記録がなければ、その変更・問題はないもととして取り扱われてしまい、いくら自分の責任ではないといってもその言い分がとおることはあまりありません」と山田さん。「そうすると、いかに最初にその家の状態をきちんと確認して、記録してきたかどうかが問題になるのですね」と佐藤さん。「そうです、よく起こるのは御主人が最初に来て、後から奥様がいらしたようなケースで、問題がそのまま放置され、あるいは最初の免責期間が過ぎてしまって、テナントさんがその修理費用の負担を強いられることがよく起こります」と山田さん。

 

ポイント

○住宅を家主さんに引き渡す際にはなるべく家主さん本人が来てもらえるように確認する。
○最終の状態確認は全て書面に基づいて行われるので、住宅についての過去の記録は全て保存し、引越荷物の中にいれないようにする。
○住み始めた最初の状況の確認を必ず書面で行っておく。