シンガポールの住宅・不動産事情
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住宅探し
第51回 佐藤さんの住宅探し(物件返却時の注意点)
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○住宅を返すときにモメることが多い場所は床、キッチン回り、大理石、壁など、またソファなど家具の使用状況も問題になることがある。
○契約を更新する時にこまめに報告、記録をとっておき、家主の了解確認をとりつけておく。
○新築は特に大事に住宅を使う。
○新築はその建物ができたときから(入居したときではない)1年はデベロッパーが無償で修理をしてくれるので、状況を家主に連絡することが必要。
○これらの報告打ち合わせは書面で記録に取っておく。
引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに質問します。
「基本的にはちゃんと手入れをして住宅を家主さんに返却すれば問題はない訳ですね」と佐藤さん。「そうですが、実際にはその<ちゃんと手入れをする>ということにお客様それぞれの基準にバラツキがあることから問題が起こります。また、家主さんの要求水準にバラツキがあることもあり、両方が極端な場合問題が大きくなります」と山田さん。「基本的な住宅の手入れとはどういうことでしょうか」と佐藤さん。「そうですね、例えばソファが布であれば定期的にカバーをクリーニングにだすとか、革であれば専用の革クリームを使ってきれいにすることがあります。日本の方でときどきソファーを水ぶきされる方がいますが、これは絶対にやらないで下さい。水ぶきすると革の表面が割れて退去の時に使用者責任を問われることがあります」と山田さん。「なるほど、カーテンなどはどうすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「最近の契約書ではテナントにカーテンのドライクリーニングの責任をおわせるケースが目立ってきています。その場合には退去前に必ずカーテンをドライクリーニングに出すか、出さなければその費用は敷金から差し引かれると考えて下さい」と山田さん。「でも私はタバコも吸いませんし、きれいに使っていますけれどそれでもダメなのでしょうか」と佐藤さん。「契約書にテナントの義務として明示してあれば、使用状況の如何によらずクリーニングに出さなくてはなりません。また、契約書に明示がない場合でも、家主側はカーテンのドライクリーニングを要求してくるケースもあります」と山田さん。「その場合はどうすれば良いのでしょうか」と佐藤さん。「あまりに汚くなっていた場合には負担せざるを得なくなることもあります。また、もし入居時に明らかにカーテンをドライクリーニングしていないことを確認できる何かがあれば、費用負担を逃れることができるかもしれません。実務的には、規定がないことからテナントに負担義務がないことをはっきりさせた上で、話し合いにより50/50位でその費用を双方が負担することで決着をつけることがよくあります」と山田さん。(次号に続く)。
○住宅の日常の手入れをこまめに行うことで将来のトラブルを未然に防ぐ。
○ソファーが布の場合は適宜ドライクリーニングに出す。但し、この場合あまり布地がきつい場合にはクリーニング後に縮んでしまわないように気をつける。
○ソファーが革の場合は専用の革クリームで清掃を行う。
○カーテンについてはどちらがドライクリーニングを行うのか契約書を確認する。