シンガポールの住宅・不動産事情
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プロが教えるシンガポールの
住宅探し
第44回 佐藤さんの住宅探し
不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。
前回のポイントは、
○中途解約ができるのはディプロマティッククローズの場合だけ。
○ディプロマティッククローズは更新の毎に設定し直す必要があり、数年同じ場所に住んでいても期間は通算されない。
○少なくとも修理等家主が問題に対応している場合には、その結果修理ができなかったとしても解約事由には当たらない。
○無難な物件選定はなるべく新しいもの、法人家主の物件。
ということでした。
今回は佐藤さんが不動産業者の山田さんに最近の賃貸住宅市場について聞きます。「最近私の知人が契約を更新するのに、家主さんから家賃の値上げを要求され、会社の予算もあるので、据置をお願いしたところ家主さんから出ていってくれと言われていますが、そんなことが起こるのでしょうか。また、日本の場合、家主さんの都合で家を追いだされる時には立ち退き料とか引っ越し代とか請求できることもあると聞いていますが、そういうことはできるんでしょうか」と佐藤さん。「日本の場合は旧借地借家法という法律でテナントの権利が相当保護されていましたから、そういうこともありうる話でしょう。しかし、現在では定期借地借家法があり、この法律のもとで締結されている賃貸借契約はこれまでとちがって家主さんとテナントさんの立場はより対等になってきており、世界スタンダードに近づいたと言えるでしょう。シンガポールでは基本的に賃料は上がることもあれば、下がることもあります」と山田さん。「現在の家賃相場はどうなんでしょうか?」と佐藤さん。「リーマンショック前に一旦ピークを迎えた住宅賃料は、リーマンショックで一旦下落しました。しかし、欧米の景気が悪く東南アジア、中国、インド地区にまた人々がもどり、あっという間に回復して、現在ではリーマンショック前よりも賃料が高いという状況になっています」と山田さん。「今後はどうなるのでしょうか?」と佐藤さん。「さすがにそろそろ景気減速感が出てきており、不動産売買市場も落ち着きをとりもどしてきており、経済成長も鈍化するものと思われます」と山田さん。「そうすると今がピークということでしょうか」と佐藤さん。「住宅賃料は景気全体が減速し、売買金額に影響が出、その次に賃料に影響がでます。そのため、景気が悪くなったからといってすぐに賃料が下落することはなく、大体半年くらい遅れて賃料に影響がでます。そのような意味では現在の賃料水準がピークと言えるかもしれません」と山田さん。「いつ頃から賃料は下がり始めるのでしょうか?」と佐藤さん。「おそらく景気後退から半年後、早くていまから6ヶ月後には下がる可能性がありますが、ちょうど日系企業の異動時期にあたっているため、その後ということもあり得ます」と山田さん。
○現在の賃料はほぼピーク。
○賃料の上下動は景気全体、不動産売買動向から約半年遅れ。
○早ければ今から6ヶ月頃に賃料は下がり始める可能性がある。