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第43回 佐藤さんの住宅探し

不動産仲介業者の山田さんと一緒にコンドミニアムを見学している佐藤さん。

前回のポイントは、

○シロアリの問題が発生すると再発する可能性がある。

○一方で再発したからといって賃貸借契約をテナントから解除することはできない。

○家主が発生した問題に対して対応している場合にはテナントの平穏無事に占有する権利を侵しているとは言えず、テナントから一方的に解約することは法的に難しい。

ということでした。

「そうすると、何度もシロアリや虫が出て、その都度家主さんがペストコントロールなどの対応をしていれば、家主側には責任がないということですか」と佐藤さん。「残念ながらそういうことになります。日本では双方合意すれば、賃貸借期間中に事前予告することによって賃貸借契約を解除できるような取り決めが多いようですが、外国ではむしろ一旦賃貸借契約が締結されれば期間満了まで双方解約できないとするケースが一般的です」と山田さん。「どのような場合に、中途解約が認められるのでしょうか」と佐藤さん。「シンガポールでは外国人の駐在員が多いため、転勤など自己の都合でなくシンガポールを退去しなくてはならない場合には中途解約が認められます。これはディプロマティッククローズ(Diplomatic Clause)と呼ばれているものですが、この場合でも最低限解約できない期間が設定され、その後に一定期間の事前予告を出すことによって解約できます」と山田さん。「そうすると、1年位住んでから転勤で異動する場合には解約できるのですね」と佐藤さん。「注意しなくてはいけないのは、賃貸借契約を更新した場合です。同じところにもう3年住んでいるからいつでも予告を出すことで解約できると思っている人がいますが、それは違います。更新をする毎にこの最低限解約できない期間を設定し直す必要があります」と山田さん。「そうですか。そうすると隣近所に問題があるケースや、近くで工事が始まったりした場合でも、解約できないことになるんですね」と佐藤さん。「そのとおりです。また、水漏れやその他のいろいろな問題が住宅にあることが入居後にわかったとしても、少なくとも家主が何らかの対応をしていれば、家主はその義務を果たしていることになり、解約することはできません」と山田さん。

ポイント

○中途解約ができるのはディプロマティッククローズの場合だけ。
○ディプロマティッククローズは更新の毎に設定し直す必要があり、数年同じ場所に住んでいても期間は通算されない。
○少なくとも修理等家主が問題に対応している場合には、その結果修理ができなかったとしても解約事由には当たらない。

無難な物件選定はなるべく新しいもの、法人家主の物件